1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650615
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
服部 昌太郎 中央大学, 理工学部, 教授 (90055070)
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Keywords | 遡上波 / 測定データ処理 / 底質移動 / 打ち上げ高さ / 海浜変形 |
Research Abstract |
単一・複合斜面上での遡上波波の運動挙動を把握するため、遡上波水面形の時空間変動記録から非線型長波の連続式を使用して内部平均流速を算定し、せん断力を考慮した運動方程式により海底面の摩擦係数を評価する手法を開発した。 このようにして算定された流速の時空間変動と数値計算結果との一致度は比較的良好で、しかも測定結果から斜面上での遡上モードが、平均汀線近傍で段波モードからswashモードに遷移することが確認された。遡上波の遷移現象を周期波で捉えたことは、本研究が初めてである。この結果に基づき、遡上高さの算定モデルを提案した。一方、海浜面に働くせん断力と流速との関係から、dry bed上での底面摩擦を評価することがある程度可能となった。時間依存の摩擦係数は、従来採用されているものより若干大きく、しかも遡上波の打ち上げと打ち下げによって異なることが明らかにされた。より詳細な検討は、測定データの処理法に関係するため、現在その検討を行っている。 移動床では、底質移動厚を正確に判定することが難しいため、その判定条件の決定にレイノルズ数などの指標を考えている。そこで現時点では、遡上波内部の流速が対数分布則に従うと仮定して底質移動量を算定し、海浜地形の変化を数値計算モデルと比較した。その結果、佐藤らの予測モデルを遡上域にまで拡張使用しうることが確認された。
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[Publications] 郷農一之・有村盾一・服部昌太郎: "浜崖地形の形成機構" 土木学会海岸工学論文集. 42. 616-620 (1995)
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[Publications] 郷農一之・服部昌太郎・杉本直人: "斜面遡上波の運動機構に関する実験的研究" 土木学会海岸工学論文集. 43. 141-145 (1996)
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[Publications] 有村盾一・服部昌太郎・内田一裕: "波打ち帶の底質輸送と海浜地形変化の実験的研究" 土木学会海浜工学論文集. 43. 516-520 (1996)
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[Publications] 有村盾一・服部昌太郎: "浜崖形成に及ぼす崩壊土砂の影響" 土木学会第50回年次学術講演会講演概要集. 2-B. 872-873 (1995)
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[Publications] 有村盾一・服部昌太郎: "砕波帶内の波高水深分布と断面平均沖向き定常流" 土木学会第51回年次学術講演会講演概要集. 2-B. 138-139 (1996)