1996 Fiscal Year Annual Research Report
住民の知識・理解構造の変動に着目した土地問題のコンフリクト分析手法に関する研究
Project/Area Number |
08650620
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
土井 健司 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科・情報環境学専攻, 助教授 (10217599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜岡 秀勝 東京工業大学, 総合理工学研究科・人間環境システム専攻, 助手 (70262269)
高田 和幸 東京工業大学, 工学部・土木工学科, 助手 (30282867)
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Keywords | 項目反応理解 / コンフリクト分析 |
Research Abstract |
住民や地域との交渉過程を伴う公共事業においては、パブリックインボルブメントの手続きが今後ますます重要性を増すと考えられる。現状においても説明会や公聴会など情報提供、意見交換の場が存在するが、必ずしも意思の疎通に有効に活用されているわけではなく、一方通行の情報提示に終始するケースも見られる。その原因の一つは、1)事業実施以前の計画策定段階における住民・市民参加の手続きの不在である。また、2)従来の公聴会等は立場や価値観の多様な集団を対象とした場であり、そこでは焦点を絞った効果的なコミュニケーションを図ることが本来困難な点も指摘される。加えて、3)住民等の受け手側にいかなる情報が不足し、事業のどのような要素が理解されにくいのか等を行政側が十分に把握していない点、4)交渉時の情報提供方法の問題点も挙げられる。 本研究は、以上の問題点のうちの主として3)に関する検討を行い、さらに、2)に対してフォーカスグループミーティングのような対象を絞った交渉方法の検討を資するため、地権者住民の知識および理解状態の定量的把握に基づき、集団を幾つかのグループに分類するというセグメント化手法の構築を行った。 まず地権者住民の知識状態および理解状態を定量化するために、本研究では土地区画整理事業区域の地権者住民を対象として質問調査を実施し、その結果に潜在変数モデルの一つであり非線形現象の表現に適した項目反応理論を適用した。 項目反応理論の適用から、個人の特性を表わす知識パラメータと理解パラメ-が得られ、その分布状況から「知識レベルの高いものが理解レベルも高い」との単純な関係が必ずしも成立しないことが明らかにされた。また、個人の所得や職業および定住意向によっても両者の関係が異なることが示された。さらに、意見調整の場への参加意向について、知識および理解レベルのともに高いグループは、研究会の段階から積極的な参加意向が強いのに対し、理解レベルに対して知識レベルが相対的に低いグループは調整の場への参加意向は低く、なるべく関わりたくないと考えているとの関係が捉えられた。
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Research Products
(1 results)