1997 Fiscal Year Annual Research Report
高速道路勾配部におけるドライバーの視覚錯誤メカニズムに関する基礎研究
Project/Area Number |
08650636
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Research Institution | Kure University |
Principal Investigator |
今田 寛典 呉大学, 社会情報学部, 助教授 (80093730)
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Keywords | 視覚錯誤 / 道路勾配 / 車線変更 / 意志決定 / ドライバーの視覚情報認知 |
Research Abstract |
9年度は、中国自動車道を対象に、ドライバーの勾配情報認知について調査をした。さらに、ドライバーの視覚情報認知が車線変更時の意思決定過程に及ぼす影響を明らかにした。以下に得られた知見を示す。 1 少数の被験者による実験であるが、高速道路では、視野が広く、前方の景観が開けているため、勾配に関する情報認知がドライバーによってかなり異なる場合が多い。特にクレスト部や鞍部ではドライバー間に差がみられた。 2 アンケート調査によると、車線変更をする際、どの情報にウェイトを置いているのかは、ドライバーによって異なる。調査結果をクラスター分析すると、車間距離情報にウェイトを置いているタイプ、速度差情報にウェイトを置いているタイプ、両者にウェイトを置いているタイプの3つに分類できる。 3 走行実験での結果より、速度差については「遅い」から「速い」、車間距離については「狭い」から「広い」へと認知が変化するに従って認知の曖昧さが大きくなる。 4 車線変更時の意思決定は、まず、前車との速度差が大きいこと、車間距離が小さいことにより生じる。次に、前車に対する情報のウェイトは、速度差情報と車間距離情報の双方にバランスしている。また、隣車線の前方を走る車を対象にした車線変更の判断においても、情報のウェイトは速度差と車間距離の双方にバランスしている。しかし、隣車線の後方を走る車を対象とした車線変更の判断は、情報のウェイトが車間距離情報のみにあり、速度差情報は認知されていない。 今後は、誤認知を避けるための具体的な方策を検討する予定である。
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