1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650647
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武田 信生 京都大学, 工学研究科, 教授 (20026256)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高岡 昌輝 京都大学, 工学研究科, 助手 (80252485)
|
Keywords | X線光電子分光 / 金属スズ / 塩化第一スズ / 深さ方向分析 |
Research Abstract |
昨年度において、飛灰中の重金属の形態を分析するためにX線光電子分光分析装置を使用した。しかし、飛灰は多成分系であり、されに絶縁部分が多く帯電しやすい性質を持っているため、化合物まで同定するのは難しかった。そこで、本年度はまず、単純な系で正確な分析できるかどうか検討してみた。この系は塩化第二水銀を塩化したすず表面で還元させるというもので、この反応機構を明らかにすることを目的とした。まず、深さ方向の分析も合わせてすべての244データを用いて、Sn3d_<5/2>の出現位置を算出した。束縛エネルギーは485.15±0.27eVであった。この値は文献値と比べて少し高くなったが、これはサンプルの形状による影響が大きいと思われ、板状のものと球状のものを分けて算出するとそれぞれ、484.87±0.28eV、485.20±0.23eVであった。板状のものは文献値ともよく合っていた。しかしながら、ピークの形状および半値幅の大きさからスズに比べると酸素のピークについてはっきりと分離できているとはいえなかった。表面上の原子個数比ついて考察することにより、ピークの出現位置だけでなく、その割合で化合物の形態を判断した。INの塩酸により塩化したスズ表面上では最大40%の塩素が表面を占めており、ピーク位置および原子個数比から塩化第一スズになっていることがわかった。水分30%、温度160℃、塩化第二水銀濃度80μg/Nm^3の条件で72時間通過させると最表面層から塩素はほとんどなくなっており、原子個数比から最表面では二酸化スズが、それ以降の深さでは一酸化スズが主たる反応生成物であると考えられた。これら二酸化スズと一酸化スズ、塩化第一スズのピークは0.2〜0.3eV程度しか違わない。このためピーク出現位置からだけで判断することは難しく、原子個数比がかなり重要な情報を提供することがわかった。これらのことが飛灰にも応用できるか疑問な点は残るが、来年度の検討課題とした。
|
Research Products
(1 results)