1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650647
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
武田 信生 京都大学, 工学研究科, 教授 (20026256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高岡 昌輝 京都大学, 工学研究科, 助手 (80252485)
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Keywords | X線光電子分光 / 逐次抽出法 / 重金属 / 飛灰 / 化学形態 |
Research Abstract |
都市ごみ焼却飛灰の無害化・再資源化処理および飛灰上でのダイオキシン類のde novo合成などの複雑な反応機構を明確にするには重金属の化学形態の情報が必要となる。本研究では飛灰中の重金属の化学形態を、X線回折分析、熱力学的平衡計算、X線光電子分光分析、逐次抽出法の4つの方法によって推定した。対象とした重金属は、飛仄中の含有量、毒性などを考慮して亜鉛、銅、鉛、カドミウムとした。 X線回折分析では、飛灰中の含有量が小さいため同定することは難しかった。熱力学的平衡計算からは焼却炉出口での形態を推定し、その後の排ガス処理部において捕集される飛灰中に見られた形態との違い等を考察した。X線光電子分光分析では、飛灰表面での重金属の状態分析を行い、化合形態を同定をおこなった。また、アルゴンエッチングにより、深さ方向での形態の違いおよび各元素の表面濃縮度合いを調査した。逐次抽出法では重金属の化合形態そのものよりも捕捉されているマトリックスとの関係を基本とした存在状態を知ることを目的とし、蒸留水態、イオン交換態、炭酸態、酸化物態、有機物態、残留物態の6つの形態に分画した。さらに、試薬についても同様方法で形態を6分画することにより得たデータから、飛灰中の重金属の支配的な化合形態を推定した。 以上の4つの方法から、総合的に飛灰中の各重金属の形態を推定した。亜鉛は、飛灰粒子表面付近では、塩基性炭酸亜鉛や硫酸亜鉛の形態で、飛灰粒子内部では酸化物の形態で存在していることが推定された。銅は酸化銅(II)が支配的な形態であると考えられた。鉛は塩化物、炭酸塩、酸化物、水酸化物、硫酸塩などの多くの形態が推定され、一つの形態が支配的であるとはいえなかった。カドミウムは、乾式および半乾式排ガス処理の飛仄では主に水酸化物または酸化物で存在し、湿式排ガス処理飛灰では硫酸塩あるいは塩化物で存在していることが推定された。
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Research Products
(1 results)