1997 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄物埋立地における有害化学物質の消長とその安全管理手法に関する研究
Project/Area Number |
08650657
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
田中 綾子 福岡大学, 工学部, 助手 (10131830)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松藤 康司 福岡大学, 工学部, 教授 (40078663)
花嶋 正孝 福岡大学, 工学部, 教授 (70078624)
|
Keywords | 廃棄物 / 埋立地 / 有害化学物質 / 変異原 / 安全管理手法 / 生成・分解 / 浸出水循環 / 木炭 |
Research Abstract |
昨年度の研究により、変異原物質は廃棄物の好気性分解によって生成・分解される事がわかったため、本年度は好気性分解を促進する埋立方法及び変異原物質の生成・分解要因について検討を行なった。その結果、埋立地にガス抜き立渠を設置すると同時に、覆土材として通気性の良い木炭類を用いると、従来の山土等に比べて埋立層内の好気性領域が拡大され、変異原物質の生成と分解が早期に起こる事がわかった。また、変異原性の出現は硝化が進行する時期と一致している事から、硝化菌の活動が変異原性の出現に関与している事が予想された。この事を確認する目的で、カラムに焼却灰を充填し、アンモニウム塩の散布を継続的に行い、硝化菌数と変異原活性について調査した。その結果、硝化菌数が増加し、N_2O及びNO_2^-等が生成され始めると同時に、変異原活性が検出された事から、硝化菌が変異原性の発現に密接に関係している事が確認された。また、そのメカニズムとして、焼却灰に含有されている多環芳香族炭化水素と窒素酸化物との反応により、ニトロ誘導体が生成される事が推察された。次に、現象が脱窒過程でも生じるかをNO_3^-を散布し、同様に脱窒菌と変位原活性との関係から検討した。その結果、アンモニウム塩散布の場合と同様に、NO_3^-が還元され、N_2O,NO_2^-及びNH_4^+等が検出される時期に変位原性が出現した。しかし、NO_3^-の還元への脱窒菌の関与は認められなかった事から、化学的な還元によりニトロ誘導体が生成されたものと考えられた。更に、変異原物質がニトロ誘導体であるかを観察するために、変異原活性を示す試料の赤外分光分析を行なった。その結果、窒素一酸素結合基が吸収を示す波数領域(1700〜1500cm^<-1>)に吸収が認められた。また、変異原物質の分解を促進する方法として、埋立層内への硝酸イオンの循環による好気性領域の拡大を試みた。その結果、好気性領域の拡大は図られたが、変異原物質の分解効果は顕著に認められなかった。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 立藤綾子,他: "廃棄物埋立地の有害物質の評価指標に関する研究" 第18回全国都市清掃研究発表会講演論文集. 18. 251-253 (1996)
-
[Publications] 立藤綾子,他: "廃棄物埋立地の安全性評価指標に関する検討" 第8回廃棄物学会研究発表会講演論文集. 8. 976-978 (1997)
-
[Publications] 立藤綾子,他: "硝酸イオンの循環による埋立廃棄物の早期安定化に関する研究" 第19回全国都市清掃研究発表会講演論文集. 19. 250-252 (1997)
-
[Publications] 松藤康司,他: "覆工材の違いによる環境微量汚染物質の除去" 第19回全国都市清掃研究発表会講演論文集. 19. 247-249 (1997)