1996 Fiscal Year Annual Research Report
建築環境システムの内外における物質循環に関する基礎的研究
Project/Area Number |
08650705
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
宿谷 昌則 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (20179021)
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Keywords | 建築環境システム / 物質環境 / エクセルギー / エントロピー / 屋根散水 / 淡水の資源性 / 光合成 / 生ごみの堆肥化 |
Research Abstract |
建築環境システムのエクセルギー・エントロピー過程を定量的に明らかにするとともに建築内外における物質循環の基礎理論を構築することを目的として、本年度は以下に示す四点について研究を行なった。 1.屋根散水によるエントロピー廃棄能力の地域や季節による特性を計算するための方法を検討した。夏期における東京のエントロピー廃棄能力の最大値は日中には2〜3W/(K・m^2)であり、夜間には0.5W/(K・m^2)となることがわかった。また鹿児島は東京と比べるとエントロピー廃棄能力が小さいことがわかった。 2.人体に関する無機物質の流れについてエクセルギー・エントロピー過程を計算する方法を導き、人間にとっての淡水の資源性を海水を環境とみなして定量的に把握した。人体は投入される無機物質のエクセルギーのうち95%を消費し残りを廃棄することがわかった。 3.木材生産において最も基本となる光合成について、そのエクセルギー・エントロピー過程を計算する方法を導出した。その結果、葉への入力エクセルギーはその80%が葉で消費される。残り20%のうち7%がグルコースに固定され、13%が蒸散していく水蒸気によって持ち出されることがわかった。 4.生ごみの堆肥化過程のシミュレーション方法を検討した。シミュレーションを試みた結果、家庭用の小型の堆肥化装置は、壁に十分な断熱を施せば、大型プラトンと同程の速さで生ごみが分解できることを確認した。また実験により小型堆肥化装置が、壁の断熱性の向上によって内容物温度を62℃程度まで上昇させられることを確認した。
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[Publications] 西川・宿谷: "屋根散水によるエントロピー廃棄の地域特性に関する試算" 1996年度日本建築学会大会学術講演梗概集. D-2. 461-462 (1996)
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[Publications] 斉藤・高橋・宿谷: "光合成のエクセルギー・エントロピー過程に関する試算" 1996年度日本建築学会大会学術講演梗概集. D-2. 463-464 (1996)
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[Publications] 高橋・宿谷: "Simulation of Composting Garbage with Micro Organisms as One of Passive Strategies" Proceedings of the Fourteenth Internatioal PLEA Conference(1997). Vol.2. 9-14 (1997)
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[Publications] 高橋・宿谷: "壁の断熱に着目した家庭用堆肥化装置の実験的研究" 1997年度日本建築学会大会学術講演梗概集. (予定).