1998 Fiscal Year Annual Research Report
建築環境システムの内外における物質循環に関する基礎的研究
Project/Area Number |
08650705
|
Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
宿谷 昌則 武蔵工業大学, 環境情報学部, 教授 (20179021)
|
Keywords | 建築環境システム / 物質循環 / エクセルギー / 資源 / 消費 / 生ごみの堆肥化 / コンクリート |
Research Abstract |
建築環境システムの内外における物質循環の基礎理論を構築するために、本年度は建築環境システムの内外における物質循環の一部としてコンクリートの生産と運用過程を取り上げ、これらの過程におけるエネルギー資源と物質資源の双方をエクセルギーを用いて統一的に表す方法を開発した。得られた結果を要約すると以下のようになる。 1. コンクリートは、生産時に投入されるエクセルギーの約20%を固定している。壁が物理的耐用年数まで使用されると、その間では生産時のエクセルギー投入量の約5%が消費される。運用期間が物理的耐用年数の場合、鉄筋・コンクリートの生産段階におけるエクセルギー投入量は、外壁の仕上げがタイル、モルタル、ペイント、打ち放しの順に大きくなる。運用段階におけるエクセルギー消費量も同じ順で大きくなる。 2. 壁の解体・生産の繰り返しの一周期が、壁の物理的耐用年数より短ければ短いほど、壁の生産に投入されるエクセルギーが大きく、またその消費量も大きい。運用期間でのエクセルギー消費量の積算値は、壁の仕上げに関係なくほぼ同じ値になる。それは、運用期間が物理的耐用年数として、外壁がタイル仕上げの場合の約6倍である。 3. 以上のことから、建築空間を構成する部材に対する工夫が資源を有効に利用できるか否かに大きく影響するという点は、照明・暖冷房のためのパッシブ建築手法と共通であることが明らかになった。
|