1996 Fiscal Year Annual Research Report
北海道における高令者の住戸内・外移動生活と自立生活支援型住宅の計画に関する研究
Project/Area Number |
08650707
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野口 孝博 北海道大学, 工学部, 助教授 (10113599)
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Keywords | 北海道 / 高令者 / 住宅計画 / 自立生活支援 / 移動生活 / 雪処理 |
Research Abstract |
積雪地域における一戸建住宅の出入り口空間の形態と高齢者の出入り行動の実態を明らかにするために、多雪地域の札幌市及び超多雪地域の倶知安町の2都市を選び、そこに住む60歳以上の高齢居住者を対象にして住宅・住生活の実態調査を行った。調査は出入り口空間の使用状況、雪処理方法、移動のしやすさ、出入り環境の改善要求などのアンケート調査(札幌112戸、倶知安47戸)と住宅まわりの寸法計測調査からなる。 この調査で明らかになった主要な点を以下に上げる。(1)札幌、倶知安ともに雪処理を主に配慮した結果生じていると考えられる高床住宅の増加が見られる。(2)それにともなって高齢者の住宅への出入り行動への影響がみられ、高床で階段の段数が増えるほど移動の容易さについての評価が低下している。(3)住宅の出入り口部分において雪の影響をできるだけ避けるための工夫が近年いろいろ行われている。(4)玄関・アプローチ部分の雪対策として用いられている建築装置にはひさし、風除室、雁木、一体型あるいは連続型車庫などがあり、それらの組み合わせでいくつかの建築タイプができている。(5)特に雪の多い倶知安では、車庫、雁木を住宅本体と一体化して住宅へのアクセス環境の改善を飛躍的に果たしている独持の建築スタイルがつくりだされている。(6)しかしその一方で高床にしたため生じている大きな屋外階段がそのままになっていたり、アプローチ部分の舗装がなされていないためにアクセス環境がきわめて低水準にある住宅が多いこともわかった。(7)これらのことから積雪地域の住宅の出入り口空間の質はまだ必ずしも高いものではなく、まだ多くの改善が必要なことが明らかになっている。
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