1997 Fiscal Year Annual Research Report
北海道における高齢者の住戸内・外移動生活と自立生活支援型住宅の計画に関する研究
Project/Area Number |
08650707
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
野口 孝博 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10113599)
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Keywords | 北海道 / 高齢者 / 住宅計画 / 自立生活支援 / 移動行動 / 雪処理 |
Research Abstract |
本年度は、(1)高齢者・障害者の冬期の外出状況と移動行動特性、高齢者・障害者の移動行動・移動空間に対する評価・意識を知るための住宅・移動行動実態調査、及び(2)垂直移動支援機器のひとつであるホームエレベータ-の利用実態を知るために、北海道内のホームエレベータ-導入住宅を対象にした実態調査の2本を行った。(1)の「冬期外出・移動行動実態調査」は、札幌市内の郊外地区に居住している高齢者、障害者を対象にして、冬期の外出状況、移動方法、移動の容易さ、移動時の問題点、アプローチ空間の雪処理方法、移動に関する住要求等を知るために行ったもので、健常高齢者101戸、障害高齢者55戸、障害若齢者20戸の計176戸が対象である。(2)の「ホームエレベータ-利用実態調査」は、北海道内でホームエレベータ-を設置している戸建住宅116戸を対象にして、家族の歩行状態、住宅特性、ホームエレベータ-の設置状況、利用状況、利用者評価、住要求等を明かにしたものである。 これらの調査で明らかなった点を要約すると、以下のようになる。(1)北海道では冬期、高齢者(障害者)の外出活動が大きく制約されている反面、買い物、病院通い、老人センター通いなど、歩ける高齢者は必要に応じて冬期も概してよく外出していることが明らかになった。(2)外出行動を制約する住宅の物理的・環境的要因に、住宅の出入り口部分の形状と雪処理の仕方がある。すなわち玄関、屋外階段、アプローチ部分などの内外移動空間の形状と仕上げ等の状態、およびその除雪方法が密接に関連しており、その整備状況が高齢者(障害者)の移動行動に大きく影響している。(3)北海道で近年ふえている高床住宅およびそれに類似した床の高い住宅は、高齢者(特に障害高齢者)の移動空間での行動を制約し、外出時の困難性を増している。(4)現在一戸建住宅に導入されているホームエレベータ-は、歩行困難な高齢者、障害者の利用に供されている一方で、高齢者、準高齢者層が将来のことを考えて導入している例が多い。その割合はおよそ半々である。(5)ホームエレベータ-を設置している家では、高齢者、障害者以外にも家族がよく利用している。高齢者、障害者にとっては生活の拡大、移動のスムース化、外出環境の改善等につながっている。(6)ホームエレベータ-を設置している家では、高齢者、障害者および一般家族の評価も非常に高い。住宅内での垂直移動支援、外出のための移動支援システムとして、立体化している北海道住宅の空間改善、そして高齢者の外出環境改善に貢献する可能性は大きい。
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