1996 Fiscal Year Annual Research Report
瀋陽の歴史地区における清朝期の建築調査、並びに保存修復計画に関する研究
Project/Area Number |
08650725
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
三宅 理一 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (70157618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 浩 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (40213631)
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Keywords | 瀋陽 / ホトアラ老城 / 満州族 / 都市形成 / 八旗制度 / 清朝 / 住居 / 〓(カン) |
Research Abstract |
瀋陽においては1995年度の調査結果をもとに、その都市形成の経年的変化を読み取るために、住居を一軒ずつ平面・立面・断面など詳細にわたって測量をし、同時にヒアリング調査も行った。さらに、現状は増改築が激しいために、煉瓦などの建築材料、そしてそのほか工法などの違いを見分けることにより、清朝時代の状況を復原するための記録をおこなった。その中でも特に、中国東北地方の住居に多く見られる暖房設備である「カン」に、満州族特有の形態が見られる住居において、開口部などのディテ-ルが残っているため、その意匠なども記録し、詳細にわたって実測調査を行った。今後は、この調査地区の近隣に現存する、清朝期の状況が良く残っている別の住居群の地区の調査を実施していく。さらに今年度においては、この瀋陽から東に180kmほどのところに位置する、新賓満族自治県赫図阿拉(ホトアラ)老城の調査もさらに加えた。この赫図阿拉は瀋陽に比べ保存状態も良く、全人口の約65%を満州族が占めていることから、清朝時代の「八旗制度」の駐屯地としての都市構造を明確にすることが可能である。この赫図阿拉においては老城の内城の形態や全体構造をより正確に浮かび上がらせるために、まず内城の一部分において、地形調査、各住居間の土地の区割りを明確にするための調査をおこなった。また住居に関しては、まず古いものを4軒ほど調査対象として取り上げ実測調査をおこなった。しかし、広大な赫図阿拉老城の一部分しかまだ調査ができていないため、1997年度においては、これらの調査を本格的に、広範囲にわたって進めていく。都市構造に関しては、実測調査の結果と文献との照合により分析を進めて行き、満州族の住居においては、現状から清朝時代の居住形態を、その痕跡から明らかにする。
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