1996 Fiscal Year Annual Research Report
参加・共生型集合住宅の研究-その物理的環境形成,コミュニティ形成,及び個人の生活の質に関わる長期的効果について
Project/Area Number |
08650727
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
小谷部 育子 日本女子大学, 家政学部, 助教授 (20178388)
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Keywords | コレクティブハウジング / バオビオロギ- / コミュニティ / 居住者参加 / 共生型集住 |
Research Abstract |
本年度の研究は、参加・共生型集住に関する資料・文献整理、および海外先行事例をとおして、その物理的、人間的環境と個人の生活の質との関係を明らかにし、わが国における実現普及のための環境的整備、および計画論構築の基礎的資料とすることを目的とした。研究実績および経過の概要は以下の様である。 1.参加・共生型集住に関する海外資料・文献の整理分析: 主に住宅、コミュニティ設計に係わるエコロジカルデザインの理論、計画論、実践例の資料・文献を新たに収集。すでに手持ちのコレクティブハウジング関係の資料・文献とともに抄訳付きのリストを作成中である。 2.海外2事例の参加・共生型集住の調査概要: (1)ストックホルム(スウェーデン)にある『フェルドクネッペン』は、43戸(1ルーム〜2LDK)からなり40才以上を入居対象にしたコレクティブハウジングである。公共の賃貸住宅であるが居住者イニシアティブのプロジェクトで入居3年(1996年6月現在)後、一般集合住宅には見られないいきいきとした住環境とコミュニティが形成され、特に高齢者の生活の質において積極的な社会参加がみられるのが特徴である。 (2)チュービンゲン(ドイツ)にある『シャーフブリュール』は、生命保険会社が所有する110戸(1LDK〜3LDK)からなる賃貸のバオビオロギ-実験住宅である。「住む人が我家とおもえるような、隣人とともに我家をつくっていけるような賃貸コミュニティの実験」は、入居11年を経て多世代、多様な世帯、多様な主義主張を内包しつつ、オープンな気持ちのよいコミュニティが形成されている。 (1)は居住者間の民主的合意形成と共食がコミュニティの要であるのに対して、(2)は団地の管理はハウスマイスター(重要)や庭管理人により、特に居住者による計画的な協同はないが、健康や自然との共生をテーマにした物理的環境そのものが、コミュニティの揺らん器となっている。
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