1997 Fiscal Year Annual Research Report
近世市町における市見世の構成と町家-常設店舗-の成立過程に関する実証的研究
Project/Area Number |
08650752
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
大場 修 京都府立大学, 人間環境学部, 助教授 (20137128)
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Keywords | 町家 / 市町 / 市見世 / 店舗 / 町場 |
Research Abstract |
今年度は、福島県の会津高田町永井野地区を取り上げ、史料の分析および遺構調査を行った。永井野地区は旧永井野村で、市町であった高田町の町続きとして、近世後期以降、在方から町場として発展を遂げた。その過程は本研究の素材としてふさわしく、しかも近世中期以降の住宅遺構が多く現存していることが予備調査の結果確認されたので、史料と建築遺構の両面から在方集落における町場形成を具体的に辿れると判断したからである。 具体的には、同地区の「文政寅年以来諸商売方之義ニ付永井之村より申出候廉々御尋付答書」を用いて、農家が町屋化する過程を文献史料から検討した。さらに、現存遺構15棟を実測復原調査し、編年して、農家型住宅から常設店舗を備えた町家型住宅への変化の過程を実証的に検討した(また、遺構調査の過程で家相図が数点新たに発見され、遺構調査の青果を補った)。遺構調査の結果、18世紀中期の民家を最古として、明治40年代までの変遷をたどることができた。これは、当方地方に置いて近世中期に遡る民家遺構が新たに発見された点でも成果は大きかったと考えている。これら一連の結果は、98年度の建築学会等で順次発表の予定である。
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