1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650754
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
黒津 高行 日本工業大学, 工学部, 助教授 (20215114)
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Keywords | ネパール / マッラ王朝 / 王宮建築 / パタン王宮 / 三重塔 / 形態 / 復原 / 地震 |
Research Abstract |
この研究は、1934年の地震で倒壊・消失したパタン王宮の4基目の塔の形態を明らかにするものである。今年度の研究実績は以下の通りである。 (1)地震前の状況は20世紀半ばに出版された研究書に紹介されているが、現地調査においてこの塔の写真を確認し、その一部を印画焼付で入手した。また、撮影者とカメラの調査を行い、撮影に用いたカメラ機種を特定した。さらに、撮影範囲を目視により確認し、カメラの位置を推定した。 (2)この塔はブジャ・マンディールと呼ばれる三重塔で、ム-ル・チョク北棟上階の北隣に建っていた。位置は王宮のほぼ中央にあり、その規模はアガン寺と近似する。大塔デグ・タレと並ぶその外観は重厚であり、他の王宮においても類例がないこと、ネパールの層塔建築の発展過程を解明する上で貴重な存在であること、を明らかにした。 なお、単眼カメラで撮影された塔の写真と実測図を基に、塔の高さをコンピューター上で数値的に求める可能性を検討したが、現在の収集資料と実測図から撮影試写体の実寸法を測るには、数値の誤差が大きく、困難であることがわかった。このため、次年度においては、ム-ル・チョク北棟上階の平面の実測値と現存の層塔の類例を基に、形態復原を試みることにした。同時に、ム-ル・チョク北棟上階東側に建つ三重塔タレジュの階下についても調査する必要性が生じた。
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Research Products
(1 results)