1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650757
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山岸 常人 京都大学, 工学研究科, 助教授 (00142018)
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Keywords | 中世寺院 / 僧房 / 僧団 / 指図史料 / 世俗的機能 / 法会 |
Research Abstract |
権門寺院に所蔵される中世の指図史料の整理を通じて、中世寺院の生活空間の施設の形態とそこで展開される様々な活動を、活動の主体となる社会集団との関わりの中で解明することが本研究の目的であった。 実際の研究成果の主要部分は以下のようにまとめられる。 (1) 醍醐寺の指図史料の整理検討作業を行い、特に第416・472函の指図について詳細な実物調査を行って、指図史料を歴史学的研究の素材とするために必要な史料批判の方法の確立のための基礎的情報を集積した。 (2) 醍醐寺所蔵指図史料1500点についての画像史料データベースの整備を図った。 (3) 上記指図の内上醍醐寺の指図について詳細な分析を行い、中世後期の山岳寺院の生活様態についての事例分析を行った。 (4) 公刊されている仁和寺聖教及び東大寺供養関係史料を検討し、寺院の生活実態と儀式の分析を行った。 (5) これらの史料を援用しつつ、対比的に検討すべく、六勝寺を中心とする院政期寺院の組織と法会についての論文を執筆し公表し、更に平安京・京都研究集会で口頭発表を行った。 (6) 指図史料及び現存遺構を併せ考察することにより、中世後期における寺院の世俗的機能(参籠・保管・集会等)とその空間について検討を行い、日本宗教文化史学会大会で口頭発表すると共に、同学会会誌に投稿した。 (7) 薬師寺について指図史料と文献史料を併用し中世後期の僧団の教学活動の盛衰と伽藍形態の変転を有機的に関連づけて解釈する試みを行った。 以上のように諸種の個別研究を積み重ねることにより中世、とりわけその後期における寺院の活動の実態を解明する事ができた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 山岸常人: "上醍醐寺総画図と上醍醐院家の遺跡" 研究紀要(醍醐寺文化財研究所). 17. (1999)
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[Publications] 山岸常人: "法勝寺の評価をめぐって" 日本史研究. 426. 1-25 (1998)
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[Publications] 山岸常人: "中世後期の仏堂の世俗的機能について" 日本宗教文化史研究. 3巻1号. (1999)