1996 Fiscal Year Annual Research Report
時定数の異なる機構の協同現象による相変態の超並列計算
Project/Area Number |
08650761
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
毛利 哲夫 北海道大学, 工学部, 教授 (20182157)
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Keywords | 時定数 / 緩和時間 / 規則・不規則変態 / 経路確率法 / 相関関数 / 規則度 |
Research Abstract |
時定数の異なるいくつかの機構が協同現象する代表的な例として、合金系における時効析出等の各種の相変態を挙げることができる。かかる相変態においては、電子・原子レベルでの電子の移動を媒介とした原子間結合の組み替えが時定数の早い現象であり、第2相の析出のようにマクロスコピックな内部組織のパターン形成が時定数の遅い現象に対応する。これら二つの現象を単一の方程式中に記述することは一般には困難であり、又賢明ではない。時定数の早い現象は長時間の後には平均化もしくは平滑化され、時定数の遅い現象に対して動的な意味を失うからである。 しかし、同程度の時定数を持ついくつかの機構に対しては、その協同現象が単一の方程式から導かれる場合がある。それはA-B二元系合金における規則-不規則変態において顕著である。一般に、規則-不規則系の変態過程や緩和過程において、短範囲規則度と長範囲規則度は異なった時定数を有しているが、本研究の手法である経路確率法では、これらを相関関数の時間変化として単一の方程式から導出してくることができる。本年は特にこれに焦点を絞り、いくつかの予備計算と安定化を行った。遂行した計算の主たるものは、面心立法格子に対する経路確率法の四面体近似式の定式化と、緩和過程における電気抵抗の変化である。新しく得た知見は、一次変態であっても変態点近傍において臨界減速に類似した現象のおこり得ることを明らかにしたことである。これについて自由エネルギー曲面に基づく詳細な解析を行った。又、種々の相関関数の時定数が異なることも確認した。しかし、それぞれの緩和時間(時定数)のオーダーは大きくは異なっていない。これは、定式化に際して空孔を陽に考慮していない為である。空孔を導入した定式化とプログラムの開発は現在継続中である。
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Research Products
(1 results)