1996 Fiscal Year Annual Research Report
分相現象を利用した異方性磁気・光学特性を発現する新ガラス材料の作製
Project/Area Number |
08650778
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安盛 敦雄 東京工業大学, 工学部, 助教授 (40182349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀島 欣一 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (50251616)
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Keywords | ガラス / 分相 / 液-液不混和 / 酸化鉄 / シリカ / 核生成-成長機構 / 赤外線集光加熱 |
Research Abstract |
本研究では,液相線以上の温度での核生成-成長機構による分相現象を利用した高次構造の材料を作製するための基礎研究として,液相線以上で分相するFeO・Fe_2O_3--SiO_2系を選択し,酸液の分相状態を凍結したガラスを作製し,特に溶融条件と分相組織の関係を明らかにすることを目的とした. FeO・Fe_2O_3--SiO_2系ガラス(モル比3:97,5:95)の作製では,溶融過程での鉄イオンの価数変化による発泡現象などを防ぐため,湿式混合法(原料;マグネタイト,α-石英)で粉体の調製を行い,得られた粉体を静水圧プレス成形後に還元雰囲気下で焼結することにより2価の鉄イオンからなるフアイアライト(Fe_2SiO_4)を含む試料棒を作製し,試料棒をキセノンアーク赤外線集光加熱装置によりAr雰囲気下で溶融した.融液を所定時間保持した後,融液を急冷・ガラス化した.得られたガラスの結晶化,ガラス化の有無については粉末X線回折により,試料中の分相組織については走査型電子顕微鏡+画像処理を用いて評価を行った. ほとんどの試料の粉末X線回折パターンはハロ-のみを示し,試料がガラス化していることが確認された.安定不混和領域より高温と思われる2300℃で溶融・保持後急冷した試料には分相組織は見られなかったが,2300℃または2200℃保持後,安定不飽和領域内と思われる1800〜1700℃で融液を保持し分相させた後急冷した試料中には,核生成-成長機構により生じたと思われるFe-rich相からなる球状分相粒子が確認された.また分相処理時間が長くなるに連れて分相粒子が成長する様子が確認された.以上の結果より液-液分相現象を利用して,融液温度,分相処理時間を変化させることにより分相粒子の粒径や組成を制御し,ガラス中に高次構造が構築できる可能性が高いことが明らかになった.
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