1996 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン置換した層状遷移金属酸化物によるメタンのアノード酸化反応活性化
Project/Area Number |
08650781
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 一則 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (20143828)
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Keywords | 固体酸化物燃料電池 / メタン / アノード分極 / 遷移金属酸化物 / 層状結晶構造 / イオン交換 / 電気化学的触媒活性 / 価電子状態 |
Research Abstract |
燃料メタンの直接利用において、固体酸化物燃料電池(SOFC)のエネルギー変換効率を高めるために、メタン燃焼反応に高い活性を示す電極触媒(アノード)の開発を試みた。このために、同種イオンが層状に規則配列した結晶構造をもつ層状遷移金属酸化物に着目し、電気化学的触媒活性化作用について検討した。平成8年度内において、(1)スピネル型λ-MnO_2におけるイオン交換にともなう結晶構造変化とMnイオンの表面価電子状態変化、(2)HCoO_2粒子およびHCrO_2粒子の微細構造とアノード分極、および(3)複合型の層状遷移金属酸化物(LiCoO_2,LiNiO_2,PdCoO_2)によるメタンのアノード酸化反応活性化について、それぞれ検討を行ない、以下の結果を得た。(1)LiMn_2o_4におけるプロトン置換は表面で起こるため、バルクはλ-MnO_2、表面はHMn_2O_4の異なった組成を、それぞれもつことを示し、メタンと気相酸素の低温燃焼反応ではプロトン脱離にともなうMnイオンの表面価電子数の増加が寄与する機構を明らかにした。(2)プロトン置換型酸化物粒子(HCoO_2およびHCrO_2)の分散状態が、アノード分極におよぼす効果を検討した。これらの酸化物粒子を多孔質銀電極に分散させ、酸素イオン伝導型10mol%Sm_2O_3-Bi_2O_3電解質に接合した場合、メタンのアノード酸化反応に対しては期待した効果が得られなかったが、水素に対しては高い活性化効果を示した。この活性化効果は、酸化物粒子の分散量に依存することを示し、さらに、電界質-電極界面における酸化物粒子の均一接触による分極抵抗低下に基づくことを明らかにした。(3)複合型遷移金属酸化物のPdCoO_2粒子を多孔質白金電極に分散させ、イットリア安定化ジルコニアに接合した場合、メタンのアノード酸化反応に対して、Pt単体電極およびニッケル(ジルコニアサ-メット)電極を上回る活性化効果を見い出した。この効果は、PdCoO_2の金属的電子伝導性とメタン吸着に対するPdイオンとCoイオン複合作用によりもたらされることを示した。
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