1996 Fiscal Year Annual Research Report
気相合成ダイヤモンド薄膜のリチウムイオン伝導性の検証とその電気化学的応用
Project/Area Number |
08650786
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前田 英明 九州大学, 工学部, 助教授 (60238871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
槌田 潔 九州大学, 工学部, 助手 (50188562)
加藤 昭夫 九州大学, 工学部, 教授 (50037727)
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Keywords | ダイヤモンド / 薄膜 / 電気物性 / イオン伝導性 / 多結晶 |
Research Abstract |
融点よりも遥かに低い温度において高いイオン導電率を示す固体、いわゆる固体電解質は、電池、センサ、エネルギー変換材料として、工業的に重要な役割を担っている。中でも、リチウムイオン伝導体は全固体型リチウム電池、ガスセンサ、リチウム精製用化学ポンプ等への応用が期待され、熱的・化学的安定性に優れ、かつ室温で導電率の高い材料の開発が強く求められている。 本研究では、マイクロ波プラズマCVD法を用いて微細構造の異なる種々の多結晶ダイヤモンド薄膜を合成し、その電気伝導性ならびにLiイオン伝導性を評価した。 ダイヤモンド薄膜の合成は、CH_4およびH_2を原料とするマイクロ波プラズマCVD法で行った。基板の前処理としてバイアス処理およびダイヤモンド粉末による基板傷つけ処理を行った結果、初期析出密度を10^5〜10^<11>cm^<-2>の範囲で制御できることがわかった。得られた多結晶ダイヤモンド膜にTi-Auの二重構造電極をスパッタリング法により形成した後、直流4端子法を用いて電気伝導性の評価を行った。その結果、膜の電気抵抗は600〜700℃の比較的低温で合成することによって著しく増大することを見出した。すなわち、電気伝導性に著しい影響を及ぼす結晶粒界の質・構造を製膜温度により制御出来ることが明らかとなった。また、多結晶ダイヤモンド膜にTi-Auの二重構造電極をスパッタリング法により形成した後、LiNO_3融液に浸漬してLiド-ピングを行った。周波数応答アナライザを用いたイオン伝導性の評価では、Liイオン伝導性の確証を得るまでには至らなかった。しかし、Liド-ピング後の膜はド-ピング前に比較して電気抵抗が著しく低下する傾向が認められたことから、Liド-ピングによる粒界構造の変化が示唆された。今後、Liド-ピングの方法等をより詳細に検討する必要がある。
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