1996 Fiscal Year Annual Research Report
ゾル・ゲル法によるアップコンバージョン蛍光ガラスの作製と物性
Project/Area Number |
08650790
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小島 一男 立命館大学, 理工学部, 助教授 (30131311)
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Keywords | ゾル・ゲル法 / アップコンバージョン蛍光 / 電子スピン共鳴 / エルビウムイオン / 酸化ニオブ / 酸化ゲルマニウム / 酸化アルミニウム / クラスター |
Research Abstract |
Er(III)を含有したNb_2O_5ガラス及び多結晶とAl_2O_3-GeO_2ガラスをゾル-ゲル法を用いて作製し、それらのアップコンバージョン蛍光や電子スピン共鳴(ESR)等を測定して、次に示す成果を得た。 Nb(OC_2H_5)_5:CH_3COOH:H_2O:C_2H_5OH=1:10:4:20組成の溶液にアセチルアセトナトEr(III)を加えて作製したEr(III)含有Nb_2O_5乾燥ゲルは、500℃で熱処理すると非晶質であったが、550℃ではTT-Nb_2O_5相に結晶化した。前者(加熱ゲル)は805nm励起によるアップコンバージョン蛍光を示さなかったが、後者では弱いながらも544nmに緑色のこの蛍光を与えた。Nb_2O_5ゲルでは、GeO_2やTa_2O_5ゲルに比べて結晶化温度が低く有機物等が残留しやすいため、アップコンバージョン蛍光が発現しにくいものと考えられる。加熱ゲル及び結晶の4.2KにおけるX-バンドESRはEr(III)に因る信号を80mT付近に明瞭に示し、Er(III)はクラスター化せずによく分散していると考えられる。 Er(III)含有xAl_2O_3-(100-x)GeO_2(x=0-5)乾燥ゲルを640℃で熱処理して透明な加熱ゲル(ガラス)を得た。xが2以下のガラスでは、x=1.5のものを除いて(この原因を今後検討する必要がある)、アップコンバージョン蛍光が525,550,660nmに観測され、660nmの蛍光強度はxの増加とともに弱くなった。また、80mTのESRの信号はxの増加で強くなった。これらの結果からAl_2O_3がEr(III)のクラスター化を抑制していると考えられる。希土類イオンのクラスター化がアップコンバージョン蛍光のみでなくESRでも議論できたことは初めての成果であろう。
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