1996 Fiscal Year Annual Research Report
リチュウム系酸化物の新しい電子伝導機構を利用した固溶体電極への応用
Project/Area Number |
08650812
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
井口 栄資 横浜国立大学, 工学部, 教授 (60017960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 瞭 横浜国立大学, 工学部, 助手 (40107371)
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Keywords | リチュウム電池 / 固溶体電極 / 電子伝導機構 / スモ-ルポーラロン / ホッピング伝導 / インピータンス解析 / 誘電緩和過程 / 相変態 |
Research Abstract |
Li遷移金属酸化物を固溶体電極としたLi電池は高電圧及び再充電性機能が高いが故にその電池としての実用性の評価が高く、特にLiMn_2O_<4->系酸化物は携帯電話の電池として既に採用されている。問題はこの系の電池の更なる高機能化をはかる為には、その物理的特性を明確に把握しなければならないが、実用化が先行した材料では、ややもすると基礎的な研究が著しく欠如したまま使用されている場合が多く、LiMn_2O_<4->系酸化物もその例外ではない。本研究では、従来報告されている作成方法で試料を作成し、未だ不明である伝導機構を解明することを目的としている。この様に作成された試料の化学分析の結果は、従来考えられていた結晶組成ではなく、著しく陽イオン欠損状態にあるLi_<0.95>Mn_<1.85>O_4であることが明確になった。この酸化物は室温近傍で相変態を起こしており、高温ではF3dm構造をとる単相であるが冷却していくと第二相であるI4_1/amd相が発生し、その量が65%に達すると相変態が終了することがX-線解析で解明されている。この変態はMn^<3+>とMn^<4+>の規則配列を伴うと考えられてきたが、本研究の結果は規則配列の可能性を全面的に否定するものである。電気伝導現象はインピーダンス解析法と誘電緩和過程を用いて調べており、変態に伴い伝導現象も低温領域と高温領域の間に明確な転移が起こっており、伝導度の温度依存性及び誘電特性より、強い電子-フォノン相互作用によりMn^<3+>のe^1_g電子が局所微小歪場を伴ったスモ-ルポーラロンを形成しており、電圧印加によるMn格子点間をポッピングし、電気伝導を与えていることが明確になった。高温領域の伝導の活性化エネルギーは低温でのそれよりも低く、一般の半導体、絶縁体とは逆であり、特殊な現象であるが、これは低温での二相混在に基づくがより不規則なMn格子点のポテンシャルが最大の原因と推測される。
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