1996 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学QCM法による水溶液中における金属表面反応機構の研究
Project/Area Number |
08650868
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
興戸 正純 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (50126843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 健介 名古屋大学, 工学部, 助手 (00283408)
市野 良一 名古屋大学, 工学部, 助手 (70223104)
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Keywords | 電気化学水晶振動式微量秤量法 / その場測定 / サイクリックボルタムメトリー / Ni負極材 / CuInSe_2化合物 |
Research Abstract |
電気化学的水晶振動式微量秤量法(EQCM法)をKOH水溶液中(pH12)でのNi電極の酸化還元挙動の評価に適用し,重量変化のその場測定により反応メカニズムについて考察した。 Niは2次電池の負極材料に使用されており,電池の充放電により次の反応を生じる。 Ni(OH)_2+2H^++2e = Ni+2H_2O (1) しかし,電池の充放電を繰り返すことによりオキシハイドロオキサイドが形成・分解されて劣化・破損する。 Ni(OH)_2・H_2O+OH^- = NiOOH・(H_2O)_<1+x>+(1-x)H_2O+e (2) (2)式の反応が生じないことは避けられないので,少なくともオキシハイドロオキサイドが分解しない状態であれば劣化が抑えられるものとなる。EQCM法を併用したサイクリックボルタムメトリーによって-0.7Vから+0.8VvsSCEの電位範囲でNi電極の酸化還元挙動を測定したところ,NI電極の酸化反応電位における(2)式の反応が微妙に可逆的であることがわかった。一方,Ni-Zn合金を作成し,この合金中のZnを侵出した後のNi合金電極の上記反応の安定性は純粋なNi電極よりも優れていることがわかった。また,充放電容量は,Ni電極よりもNi合金電極の方が大きかった。EQCM法によると,Ni合金の場合は酸化過程において重量増加がみられ,還元過程においては重量減少がみられたが,純粋なNi電極の場合にはこの挙動はみられなかった。このことから,Ni合金の場合,β型のハイドロオキサイドがより安定に形成されるため(2)式反応の安定性が高くなることがわかった。(2)式反応の酸化還元電位は,Ni電極と比べてNi合金の場合,少し卑であった。これは,α型のハイドロオキサイドからβ型のハイドロオキサイドが形成されるからである。従って,安定なβ型のハイドロオキサイドが形成されることにより劣化挙動が抑えられることがわかった。 また,水溶液中からのCuInSe_2化合物の電析にも適用したところ,Seはカソード電位に伴って原子価数が変化し,共析-溶出-共析を繰り返すことにより化合物が形成されることがわかった。 このように電気化学的水晶振動式微量秤量法は材料設計にも利用できることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)