1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650873
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
恵良 秀則 九州工業大学, 工学部, 助教授 (00127987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大坪 文隆 九州工業大学, 工学部, 助手 (10243982)
岸武 勝彦 九州工業大学, 工学部, 教授 (40029880)
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Keywords | 球状黒鉛鋳鉄 / 傾斜組織 / フェライトリム / 曲げ特性 / 衝撃特性 / 銅添加 / 熱処理 |
Research Abstract |
高強度のパ-ライト鋳鉄は、表面の欠陥感受性が鋭く、曲げおよび衝撃特性に劣るが、表面から軟質のフェライト組織を発達させて傾斜組織を有する球状黒鉛鋳鉄(SGI)が製造できれば、高強度を維持しつつ、耐破壊性に優れた材料が得られると考えて、実験を行ったところ、本年度は以下のような結果を得た。 合金設計と熱処理条件:試料はCu(〜0,0.5,1.0,2.0wt%)を添加した4種類のSGIを用いて、900℃でオーステナイト(γ)化後、共析点近傍の温度で恒温保持を行いTTT図を作製した。サイズが小さい(6x6x10mm)試料では、0%及び0.5%Cu SGIの変態挙動に大きな差は見出せなかったが、1%Cu以上では、フェライト(α)変態が著しく遅滞した。また、0.5%Cu試料では、試料のサイズが大きくなると(20x20x20mm)、試料中央部のα変態が著しく遅滞する。また、γ化後、10℃/minの速度で冷却し、共析温度付近で数分保持するという簡単な熱処理で所望の組織を得ることができる。 臨界サイズの決定:丸棒試験片(0.5%Cu-SGI)の径が10mm以下ではほとんど傾斜組織が得られない。丸棒の径が少なくとも20mm以上必要であることがわかった。 応力状態と状態図:冷却過程において、試料表面が早く冷却されるので、表面層が先にα変態し膨張する。この時、試料内部のγには一種の等方的な引張応力が作用する。この引張応力による体積ひずみエネルギは、γを熱力学的に不安定にし、見かけ上の共析温度を上昇させると考えられる。この温度の上昇は数℃にも及ぶことが見積もられた。
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