1996 Fiscal Year Annual Research Report
強い非線形性を有する分布定数系のオンライン状態量分布推定と制御
Project/Area Number |
08650883
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松本 繁 東北大学, 工学部, 教授 (00005456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小尾 秀志 東北大学, 工学部, 助手 (60271863)
吉田 雅俊 東北大学, 工学部, 講師 (30230759)
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Keywords | 非線形 / 分布定数系 / 乾燥プロセス / 状態・推定 / 含水率分布 |
Research Abstract |
1.粒子層乾燥実験装置の製作と水分拡散係数の測定: 乾燥に用いる空気の温度、湿度、流量をある一定値に制御することのできる実験装置を作成した。一定値に制御された空気は木製の風洞に送風され、風洞内に材料を設置して乾燥を行なった。材料は約50mmの立方体の容器に、所定の初期含水率に調整して充填し、材料表面から乾燥を行なう。表面の含水率は赤外線水分計を用いて測定し、平均含水率はロードセルによる試料の重量変化から測定した。これらのデータに基づいて、水分の物質収支式から導出される物理モデルと得られた実測値が一致するような水分拡散係数を非線形最小自乗法を利用して推算した。 2.非線形分布定数系のオンライン状態推定法の開発: Kirchoff変換を用いて、上で求められた物理モデル(非線形偏微分方程式)を擬似線形の偏微分方程式に変換する手法と有限積分変換を用いた分布定数系の集中定数近似法を応用して、モデルを集中定数系の状態空間モデルに変換する。この状態空間モデルを利用して状態量分布を推定するシステムを設計した。 3.オンライン状態推定法の乾燥プロセスへの応用: 赤外線水分計の測定値から、粒子層内部の含水率分布の推定を実験的に試み推定精度の評価を行なった。推定精度は、粒子層内部の含水率分布をオフラインで測定して、推定値と比較することで確認した。乾燥材料には、非親水性多孔質材料であるレンガと珪砂および粒子を用い、乾燥に用いる空気の温度、流量を変えて、乾燥速度を様々に変化させた場合の推定精度への影響について検討した結果、いずれの材料においても表面含水率の測定データから全体の含水率分布を精度良く推定できることが確認できた。特に、減率乾燥期間においても推定精度が低下することなく推定が可能であり、本方法の実用性を確認できた。
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