1996 Fiscal Year Annual Research Report
イオノマー膜のモルフォロジー制御に基づく固定キャリヤ-膜の高機能化
Project/Area Number |
08650912
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
北村 吉朗 岡山大学, 環境理工学部, 教授 (90032945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 秀人 岡山大学, 環境理工学部, 講師 (50181798)
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Keywords | 固定キャリヤ-膜 / イオノマー膜 / 促進輸送 / 分離膜 |
Research Abstract |
天然油脂中に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などの高度不飽和脂肪酸を高純度に精製分離するための高機能化固定キャリヤ-膜の開発を目的に研究を行い次の結果を得た。 イオン交換膜として実績のあるナフィオン膜を,硝酸銀で処理し銀イオン置換した固定キャリヤ-膜を作製し透過実験を行った。膜の選択性能の評価はDHAエチルとオレイン酸エチルの混合物からDHAの分離実験で行った。すなわち,供給相にDHAとオレイン酸の2成分溶液を,また受容相に同じ溶媒を入れ,膜を透過して受容相中へ移動した成分をガスクロで分析して得た透過流束から促進係数と分離係数をもとめ,種種の溶媒が分離特性に及ぼす影響を検討した。 原料相と受容相ならびに膜相ともに同じ溶媒を用いる方が,通常の液膜法よりも有効であった。各種の溶媒を用いて検討した結果,溶媒としては,エタノール特に10%程度の水分を含む場合が促進係数,分離係数ともに大きくできることを明らかにした。各種溶媒による膜の膨潤度を検討した結果,透過係数は,膜の含溶媒率で相関できることが明らかになった。また含溶媒率は溶媒のドナー数に大きく依存されることが明らかになった。 含水エタノールの分離特性が優れているのはこの膜の膨潤以外に,銀イオンとオレフィンの錯形成反応が影響することを,硝酸銀溶液による抽出実験により確かめた。すなわち銀イオンとオレフィンの錯形成能が溶媒中の水分により増加し,これと膨潤度との相乗効果で含水エタノールの促進係数と分離係数が極大になることを明らかにした。 また長期間の耐久実験をした結果,この膜を繰り返し使用して,現在まで100日間以上安定した性能を示すこと確認した。
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[Publications] 松山秀人,北村吉朗: "銀イオンを担持した固定キャリヤ-膜によるDHAの選択的分離に及ぼす溶媒の影響" 化学工学会第29・秋季大会講演論文集. 29・1. 171-171 (1996)
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[Publications] 松山秀人,北村吉朗: "荷電型ゲル膜による溶質透過特性" 化学工学会61年会講演論文集. 61・2. 123-123 (1996)