1997 Fiscal Year Annual Research Report
コバルト系金属間化合物の表面特性の解明およびそれを生かした新規な触媒の開発
Project/Area Number |
08650920
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小松 隆之 東京工業大学, 理学部, 助手 (40186797)
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Keywords | 金属間化合物 / 触媒 / コバルト / 白金 / 水素化 / 部分水素化 / アセチレン / ブタジエン |
Research Abstract |
Co-Ge、Co-Al、Co-Sn系金属間化合物を触媒として、ガラス製閉鎖循環系反応装置を用いて、アセチレンの水素反応を行った。873Kで水素還元前処理を行い、表面を金属間化合物相にした。Co単体はアセチレンをエタンにまで水素化したが、金属間化合物では、エチレンが選択的に得られた。金属間化合物のこのような部分水素化に対する特異な触媒特性は、エチレンよりもアセチレンに対してはるかに高い水素化活性をもつためであることが明らかとなった。H_2-D_2交換反応をアセチレンあるいはエチレン存在下で行い、水素解離に対する影響を検討した。その結果、Co-Ge系金属間化合物上ではこれらの炭化水素が存在すると水素の交換反応がほとんど起こらないことを見いだした。 このように、Co系金属間化合物が水素化反応に特異な触媒特性を示したので、さらにPt-Ge系およびNi-Sn系金属間化合物についても、同様に触媒特性を検討した。H_2-D_2交換反応については、Co系金属間化合物の場合と同様に、典型元素と化合物を形成することによりPtおよびNiの水素解離能力は大きく低下した。Pt-Ge系金属間化合物を用いて、二重結合を2つもつため水素化が段階的に進行する可能性のある1,3-ブタジエンの水素化を行った。その結果、Ptは1,3-ブタジエンをブタンにまで容易に水素化するのに対し、Pt-Ge系金属間化合物は高選択的にブテンを生成することが明らかとなった。以上の結果から、水素化活性の高い遷移金属を典型元素と組み合わせて金属間化合物を形成することにより、アルケン、アルキン、ジアルケンなどの吸着の強さを変化させることができ、部分水素化に特異な活性をもつ触媒が得られることを明らかにした。
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