1997 Fiscal Year Annual Research Report
キラル性無機リン酸ユニット配位型触媒の合成と不斉反応
Project/Area Number |
08650922
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
上田 渉 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 講師 (20143654)
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Keywords | 高次構造触媒 / ヘキサメタリン酸 / 金属配位錯体 / 結晶合成 / 構造解析 / キラル構造 / 不斉合成 |
Research Abstract |
有機金属錯体触媒では金属の配位子場と配位子の形状という要素からその構造と機能が決定されているが、無機固体触媒を考える上では触媒活性部位となる局所分子構造のみならず固体結晶の高次構造をも重要となる。本研究では自己集合性超分子錯体形成の概念を展開し、ヘキサメタリン酸化合物の持つ多様な形状と複雑な特性を利用して、キュバン構造の金属一酸素複核イオンとポリピリジル系配位子からなる高次構造化合物群を合成するともに、固体物質へのキラル性の導入を試みた。 今回合成に成功した一例として[Co_3O(OH)_3(OAc)(H_2O)-(bpy)_3]_2[Co_2(P_6O_<18>)_2]では、平面状の二個のヘキサメタリン酸環が面を合わして接近し、その間で二個の2個のコバルトイオンがヘキサメタリン酸環面のリン酸素各々3個に配位し、サンドイッチ型の陰イオンを形成した。これの対陽イオンはキュバン構造の金属一酸素複核イオンであり、きわめて複雑な自己集合性超分子錯体を形成していることが分かった。サンドイッチ型の陰イオンはこれまで報告されたことのない全く新しいイオンで、この陰イオンの構造形成は単純な錯生成メカニズムにより成り立っているのではなく、ヘキサメタリン酸アニオンが構造の自由度を利用してその形状を大きく歪ませ、コバルトイオンの環境に適応して変化、配位するためであることが分かった。さらにこの結晶ではコバルトイオンがサンドイッチ構造体中とキュバン構造体中の両方に存在し、各々陰イオンと陽イオンを構成しているが、このような組織化が単純な水溶液からの結晶化によって生じることはたいへん興味深い。この化合物をベースにキラル性の導入を試みた。
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