1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650938
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三原 久和 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (30183966)
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Keywords | ペプチド / タンパク質 / 合成 / 酵素触媒 / 人工リガーゼ / チオールサブチリシン |
Research Abstract |
糖鎖やリン酸基を有するペプチド・タンパク質は、物質間および細胞間認識、あるいはそれらを利用した医薬品の開発基礎研究のために重要な材料となる。しかし、実際にタンパク質と呼ばれるアミノ酸100残基以上の長鎖ペプチドや側鎖に糖やリン酸基を有する複雑な構造の長鎖ペプチドの合成は未だ不可能である。そこで、側鎖に糖鎖等を有するタンパク質部分フラグメントと化学合成したポリペプチドとを水溶液中で縮合可能な試薬つまりペプチドリガーゼを開発すれば、上記の複雑な構造を有するタンパク質を合成することが可能になる。本研究では、迅速に化学合成可能なペプチドどうしを水溶液中において縮合し、タンパク質合成に応用可能なペプチドリガーゼシステムを開発することを目的とし、研究を行った。人工リガーゼとして、化学的変換酵素チオールサブチリシンを用いた新規のシステムの構築に成功した。 1)チオールサブチリシンの簡便・量的調製方の確立:酵素のアフィニティーカラム法を利用した簡便・量的調製法の確立を行った。2)短鎖ペプチドチオエステルを基質としたリガーゼ反応:ペプチドチオエステルをチオールサブチリシン触媒反応の新規基質として採用し、まず短鎖のペプチドチオエステルを用いて、2時間程度の触媒反応で80%以上の収率でペプチドリガーゼ反応を行うシステムを確立した。アミノ酸配列選択性や反応条件(pH、温度、溶媒など)の最適化を行った。3)長鎖ペプチドチオエステルを基質としたリガーゼ反応:2)の基礎実験成果をふまえて、実際に有用なペプチド・タンパク質の合成を、チオエステル合成法およびチオールサブチリシン触媒反応を連携させることにより実行し、成功した。がん遺伝子産物タンパク質c-Mybのフラグメントペプチド(20残基)や細胞のプログラム死アポトーシスに関連したリ-パ-タンパク質(65残基)のリガーゼ触媒合成に成功し、本チオエステル基質を用いるペプチド・タンパク質リガーゼシステムの開発に成功した。
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