1996 Fiscal Year Annual Research Report
リチウム二次電池炭素負極内におけるリチウムイオンの拡散機構
Project/Area Number |
08650969
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
内田 隆 東京工業大学, 工学部, 助教授 (10126310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生田 博将 東京工業大学, 工学部, 助手 (80242270)
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Keywords | リチウム二次電池 / 負極炭素材料 / リチウムイオン導電性 / 化学拡散係数 |
Research Abstract |
リチウム二次電池の電極材料の評価法の一つとしてリチウムイオンの拡散係数を測定することは大変重要である。本研究では負極炭素材料中のリチウムイオンの拡散係数を主に電気化学的手法を用いて測定した。この際、複数の方法を同時に用いることにより、また、繊維状炭素および粉末炭素の圧粉体と異なる形状の炭素電極を用いることにより負極中のリチウムイオンの拡散機構を明らかにした。 測定には石炭ピッチを原料とする炭素繊維(直径10μm、焼成温度2800℃)および炭素粉末(粒径10μm、焼成温度1400℃)を用いた。また、拡散係数の測定には(1)電流パルス緩和法および(2)ポテンシャルステップ法を同時に用いた。 炭素繊維および炭素粉末の測定を行ったところ、炭素繊維中での拡散係数は3×10^<-10>〜1×10^<-12>cm^2s^<-1>炭素繊維中での拡散係数は3×10^<-8>〜1×10^<-9>cm^2s^<-1>中であった。方法(1)および(2)を同時に用いて測定した結果はいずれも最大でも1桁以内でよい一致を示し、両者とも十分信頼性のある方法であることが証明された。このような検討はこれまでにされたことはない。電流パルス緩和法における、ΔEv.s.1/√tプロット(Eは緩和過程のセル電圧(V)、tは時間(s))を行うと、炭素繊維では140秒、圧粉体ペレットでは1000秒の直線部分が得られた。この結果から、圧粉体の中で炭素が直径10μmの粒子として作用するのではないこと、つまりリチウムは各粒子表面でなく、電極表面からのみインターカレートすることが明らかとなった。また、圧粉体中のリチウムの拡散係数が炭素繊維中での値より2〜3桁高いことから圧粉体中にしみ込んだ電解液が圧粉体表面から内部へのリチウム拡散に大きく寄与していることが示唆された
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[Publications] T.Uchida et al.: "Chemical diffusion coefficent of lithium in LiM_yMn_<2-y>O_4(M=Co and Cr)" Solid State Ionics. 86-88. 907-909 (1996)
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[Publications] T.Uchida et al.: "Chemical diffusion coefficient of lithium in carbon fiber" J.Electrochem.Soc.143. 2606-2610 (1996)
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[Publications] T.Uchida et al.: "The spinel phase LiM_yMn_<2-y>O_4(M=Co,Cr,Ni)as the cathode for lithium secondary batteries" J.Electrochem.Soc.143. 178-182 (1996)
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[Publications] 脇原將孝ら: "最新電池ハンドブック" 朝倉書店, 922 (1996)