1997 Fiscal Year Annual Research Report
鉛化合物を用いる再資源化による新しい硝酸塩廃水処理技術の開発
Project/Area Number |
08650988
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉岡 敏明 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (30241532)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥脇 昭嗣 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70005320)
|
Keywords | 鉛 / 硝酸塩 / 廃水処理 / 窒素負荷 / リサイクル |
Research Abstract |
[1]酸化鉛(II)を用いた水蒸気蒸留による硝酸アンモニウム成分の再資源化 ・硝酸アンモニウム水溶液に、酸化鉛(II)を加え、水蒸気蒸留することによりアンモニアと塩基性硝酸鉛(II)を短時間でほぼ100%回収し、再資源化できることを明らかにした。アンモニアと塩基性硝酸鉛(II)の回収率はPbO/NO^-_3モル比とpHに大きく依存することがわかった。 [2]湿式ボールミル中の鉛粒子による硝酸塩溶液の還元 硝酸ナトリウム溶液中では鉛の表面に皮膜が生成し、硝酸イオンの還元が妨げられるため効率的に還元を進めるためには金属鉛表面上の皮膜の剥離が有効であると考えられる。そこで、鉛粒子をボールミル中で回転させ、粒子同士の接触により粒子表面上に生成した酸化皮膜を剥離させ、硝酸塩溶液と金属鉛との接触面積を一定に保たせる湿式ボールミル型装置を試作し、鉛による硝酸イオンの還元について、亜硝酸イオンへの還元速度、還元剤としての鉛の還元効率および還元生成物である亜硝酸イオン、アンモニアおよび窒素の選択性に及ぼすミル回転数、反応温度、硝酸イオン初濃度の影響等を検討し、以下の結果を得た。 ・回転速度、反応温度が高いと還元速度は増大し、硝酸イオン除去率、亜硝酸イオン生成率は増大した。 ・40〜80℃において初期から中期における硝酸イオンから亜硝酸イオンへの還元は0次反応であり、生成する酸化鉛皮膜の剥離が律速過程と思われる。 ・25℃以下では、反応速度は小さく、鉛粒子表面における還元反応が律速過程となった。 ・反応の律速過程が変化するのは、主な反応場が鉛粒子表面であるため、皮膜剥離状態による反応の阻害と温度の上昇による反応速度の増加効果が25〜40℃で相殺しているためと考えられる。
|
-
[Publications] 菊池 和世: "湿式ボールミル中の鉛粒子による硝酸ナトリウム溶液の還元速度" 化学工学論文集. 23(4). 548-554 (1997)
-
[Publications] Miho Uchida: "Recovery of Ammonia and Nitrate Ion from Ammonium Nitrate in Wastewater by Steam Distillation Adding Lead(II)Oxide" Hydrometallurgy. 45(3). 239-247 (1997)
-
[Publications] Miho Uchida: "XPS Study of the passive Layers Formed on Lead in Aqueous Nitrate Solutions" Chemistry Letters. (5). 449-450 (1997)