1996 Fiscal Year Annual Research Report
高効率エネルギー変換装置材料としての窒化ケイ素基セラミックスの耐環境特性
Project/Area Number |
08650990
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉尾 哲夫 岡山大学, 環境理工学部, 教授 (70032943)
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Keywords | 窒素ケイ素基セラミックス / 耐環境特性 / 高温高圧水腐食 / 溶融塩腐食 / 結晶粒界 / 腐食形態 / 耐食性 / 強度劣化 |
Research Abstract |
窒化ケイ素基セラミックスのエネルギー変換装置材料への適用によるエネルギー利用効率の向上を目的とし、コンバインド・サイクル発電システムの次の1,2で大別される複合環境を想定した各種窒化ケイ素基セラミックスの耐環境特性に関する一連の実験を実施した。 1.高温高圧水中(300℃、8.6MPa)での腐食挙動:(蒸気タービン環境) 2.高温燃焼環境下でのNa_2SO_4が誘起する溶融塩腐食挙動:(ガスタービン環境) このうち、前者の高温高圧水腐食挙動からは、結晶粒界相が耐食性を大きく支配する従来の研究成果に基づき、本研究で着目した、α-単相サイアロン[Mx(Si,Al)_<12>(O、N)_<16>;M=Y,x=0.5,α率100%]がSi_3N_4基セラミックス中で最も優れた耐食性を示すことが明らかになった。すなわち、(1)腐食層の生成が保護膜効果を示し、最も少ない腐食重量変化を示す。(2)腐食に伴う腐食層除去後の基体表面の腐食形態は、SEM観察よりβ-相含有窒化ケイ素セラミックスでは、孔食(pitting corrosion)の形態を呈し、α-単相サイアロンでは、均一腐食(uniform corrosion)で特徴ずけられた。(3)室温曲げ強度の測定から、孔食を呈する試料ではピットが破壊源となり、均一腐食の試料よりも著しい強度低下が見られた。以上の結果は、本研究のねらいどおりα-単相サイアロンでは理論的に粒界の第2相を残留させないで均一な固溶体を形成しうることによる耐食性の向上が可能であることを示す。2の環境下での腐食試験方も確立しているので、今後は1,2両環境下での(1)、(2)ならびに特に(3)の環境強度に着目した、材料設計の指針を得るための研究を継続してゆく予定である。
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Research Products
(2 results)