1997 Fiscal Year Annual Research Report
糖類をテンプレートとした各種フルオロメチル基を有するアルドール構造の構築
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08651002
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山崎 孝 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (40191267)
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Keywords | 糖 / キラルテンプレート / モノフルオロメチル化合物 / ジフルオロメチル化合物 / トリフルオロメチル化合物 / 水素添加 / 分子軌道計算 |
Research Abstract |
昨年度は、メチル=2-ベンゾイル-4,6-O-ベンジリデン-D-グルコースの3位にジフルオロメチレン基を有する物質を共通中間体として調製し、これを経由してモノ、ジ、トリフルオロ化合物への効率的誘導法を確立することができた。今年は、このような基礎知識を更に応用して、2位もしくは4位の水酸基を足掛かりとしてジフルオロメチレン体を合成し、そのまま水素添加もしくは部分還元でモノフルオロメチレンとした後に水素添加に付して、それぞれ対応するジフルオロもしくはモノフルオロメチル体への変換を行った。その結果、2位のexo-ジフルオロメチレン体からは3位の場合と同様、単一のジアステレオマ-を得ることに成功したが、4位水酸基を足掛かりとした場合には、約2:1程度の低い選択性しか発現されなかった。この水素添加反応は、アキシャルに位置しているメトキシ基を避けるように進行していることが、前年度の分子軌道計算から示唆されているが、4位はアノマー位から最も離れているため、メトキシ基の立体もしくは電子的な効果が最も及びにくい位置であることを反映した結果であると解釈できよう。また、対応するトリフルオロメチル体も、前年度と同様にγ,γ-ジフルオロアリルアルコール構造のDASTよるSn2′型のフッ素化で容易に合成でき、2位のトリフルオロメチル体からは単一のジアステレオマ-が得られ、4位のトリフルオロメチル体からも93:7という良好な立体選択性が観測された。 こうして昨年度の3位水酸基を利用した場合を含めると、メチルグルコシドの2位から4位までのいずれの水酸基を利用しても、それぞれの位置にモノ、ジ、ならびにロリフルオロメチル基を共通の中間体から収率良く、しかも立体選択的に導入することが可能になった。 なお、実験の遂行上重要なガスクロマトグラフィー用コンプレッサーが急に使用不能となってしまったため、計上していなかったが、新しいコンプレッサーを備品として購入したことを付け加えておく。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 山崎 孝: "Highly Stereoselective Route to Aldol Products Incorporating Fluorine-containing Methyl Groups Starting from a Single D-Glucose-derived Intermediate" Tetrahedron:Asym.8・8. 1157-1160 (1997)
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[Publications] 平岡 秀一: "Highly Stereoselective Introduction of Fluorine-Containing Methyl Groups at 2 Position of The Key D-Glucose Intermediate" Synlett. ・6. 669-670 (1997)