1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08651010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中辻 洋司 大阪大学, 工学部, 助教授 (00127268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木田 敏之 大阪大学, 工学部, 助手 (20234297)
池田 功 大阪大学, 工学部, 教授 (70029049)
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Keywords | クラウンエーテル / キラル認識 / 光学分割 |
Research Abstract |
鍵中間体である2,12-ビス(ブロモメチル)-2,12-ジメチル-18-クラウン-6(1a)は、著者らの方法に準拠してcis、trans異性体の混合物として合成した。この両立体異性体をカラムにより分離後、オキシキノリン側鎖を導入し、KIとの錯体について結晶解析を行ったところ、側鎖のヘテロ原子が錯形成に関与していることが明かとなった。これはC-ピボットラリアートエーテルで側鎖が実際にカチオンに配位していることが確かめられた最初の結晶解析例である。 次にtrans-1aをアセチル化後、加水分解することにより、trans-2,12-ビス(ヒドロキシメチル)-2,12-ジメチル-18-クラウン-6(1b)をラセミ混合物として合成した。同様の方法により、trans-2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-2,6-ジメチル-18-クラウン-6(2b)をラセミ混合物として合成した。 リパーゼ存在下で1bのアセチル化反応を行うと、モノアセチル体(1c)をへてジアセチル体(1d)を与えた。反応には5種類のリパーゼを用いた。1bと1dがほぼ等量になった時点で反応を停止し、その混合物からジアセチル体を単離した後、シフト試薬として(R)-(+)-(1-ナフチル)エチルアミンの塩酸塩を添加して^1H-NMRを測定することにより%eeを決定した。酵素の種類により反応速度、選択性に明らかな差が認められ、現段階では、33%の化学収率で、75%eeが最高である。同様の条件下、2bについては29%の化学収率で、48%eeであり、置換基の位置により選択性に差が見られた。当該化合物は、諸種修飾可能な置換基を二つ有するため多様なキラルホスト分子開発の鍵化合物として重要と考えられる。
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