1996 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属-電解酸化系を用いる炭素-炭素二重結合の特異的官能基変換
Project/Area Number |
08651011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒星 学 岡山大学, 工学部, 講師 (30242316)
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Keywords | オレフィン / 酸化 / 電解 / ルテニウム / オスミウム / 不斉誘起 / 天然物 |
Research Abstract |
炭素-炭素二重結合の酸化反応を精査し、特定の生成物を選択的に得るための反応条件を、酸化剤・共酸化剤・配位子・反応溶媒を中心に需めた。 ルテニウムを利用したオレフィンの電解酸化反応を精査した結果、電解条件を適当にチューニングすることにより、様々なタイプの生成物を選択的に得ることができることがわかった。すなわち、触媒量のRuCl_3と共酸化剤としてNaBrO_3を用いて、非分離型セル中両極に白金電極を用いて水/アセトニトリル/酢酸エチル中オレフィンを酸化すると、二重結合の開裂が起こり、相当するカルボニル化合物が得られた。また、共酸化剤としてNaBrO_3のかわりにKIO_3を用い、分離型セル中陽極に酸化鉛電極、陰極に白金電極を用いてオレフィンを酸化すると、相当するジオールが得られた。 オスミウムによるオレフィンの酸化反応はヨウ素を共酸化剤として電解系でも通常の化学反応系でも進行し、相当するジオールを与えることが明らかになった。また、この反応系中に不斉配位子を共存させることにより、生成するジオールの不剤誘起が可能であることがわかった。本反応をサイクリックボルタンメトリーおよび紫外可視吸光分析で解析し、反応機構の推定を行った。現在、この反応を利用して、有用天然物であるシコニンおよびゴニオジオールの不斉合成を行っている。 今後、ルテニウムやオスミウムによる選択的な反応をさらに追求すると同時に、マンガンおよびバナジウムを用いた新しいレドックス系についても検討する。また、配位子の安定性も含めて検討する。
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