1996 Fiscal Year Annual Research Report
アリルエステルと有機ホウ素ate錯体とのカップリング反応の有機合成への応用
Project/Area Number |
08651019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 雄一 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (90153650)
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Keywords | カップリング反応 / ニッケル触媒 / アリルエステル / アリル炭酸エステル / 有機ホウ素ate錯体 / アリールホウ素ate錯体 / ブレフェルディンA |
Research Abstract |
近年,我々はニッケル触媒を用いるアリル炭酸エステルと有機ホウ素ate錯体とのカップリング反応を見いだしている。この反応系は,従来のパラジウム触媒を用いるカップリング反応系と比べて,より反応性に富み,第二級のアリル炭酸エステルでさえ容易に反応する。本研究では,このカップリング反応を活用してブレフェルディンAの不斉合成を行った。また,キラルな第二級アリル炭酸エステルを用いてカップリング反応における立体選択性を検討した。 ニッケル触媒存在下,2-フリルホウ素ate錯体[2-furyl-B(OMe)_3]^-Li^+とシス・シクロペンテン-1,4-ジオールのモノアセテートとのカップリング反応は選択的に進行し,トランス-1,4-置換体を位置選択的(6:1)かつ立体特異的(>99:1)に与えた。この反応は,ニッケル触媒に特異的であり,パラジウム錯体は触媒作用を示さなかった。この生成物にC(10)-C(16)側鎖を導入し,続いてフリル基を酸化的[(1)NBS;(2)NaClO_2]にγ-ケト-α,β-不飽和カルボキシル基に変換するとBartlettのブレフェルディンAセコ酸が合成できた。また,この酸化反応を活用してピレノホリン,パチュロライドAを合成した。 キラルな第二級アリル炭酸エステルを用いる不斉カップリング反応の検討では,種々のニッケル錯体を10mol%用いて光学活性なl-phenyl-1-octen-3-ol(>99%ee)の炭酸エステルとアリールホウ素ate錯体との反応を行った。その結果,いずれの触媒を用いてもカップリング反応は反転を伴って進行することを見いだした。しかし,若干ラセミ化を伴なうため,更なる検討が必要である。
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[Publications] Yuichi Kobayashi: "A New Approach to(+)-Brefeldin A via a Nickel-catalyzed Coupling Reaction of Cyclopentenyl Acetate and Lithium 2-Furylborate" Tetrahedron Letters. 37. 6125-6128 (1996)
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[Publications] Yuichi Kobayashi: "Two-step Conversion of 2-Substituted Furans into γ-Oxo-α,β-unsaturated Carboxylic Acids.Formal Synthesis of(+)-Patulolide A AND(-)-Pyrenophorin" Tetrahedron Letters. 37. 4385-4388 (1996)