1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08651032
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
戸部 義人 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (60127264)
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Keywords | 大環状化合物 / 分子素子 / 自己集合 / 分子間相互作用 / ホストーゲスト化学 / アセチレン |
Research Abstract |
本研究では、およそ10Åの内径を有し比較的大きな有機分子をも包接しうる剛直な構造をもつ人工ホスト分子として、メタジエチニルベンゼンユニットの環状オリゴマーである大環状アセチレン分子を設計し、その合成法の確立と溶液中での分子間相互作用に関する検討を行った。 大環状アセチレン分子の効率的な合成 メタジエチニルベンゼンユニットにより構成される大環状アセチレンを、対応する鎖状前駆体を高度希釈下において分子内環化することにより効率よく合成する方法を開発した。この鎖状前駆体は、アニリン誘導体への選択的なモノヨウ素化反応を用いてブロモヨードアニリンを合成し、これに対して段階的に異なる保護基をもつエチニル基を導入して非対称メタジエチニルアセチレンとし、これをヘテロカップリングすることにより合成した。この方法により、エチニルベンゼンユニットの環状四量体および環状六量体を合成した。 大環状アセチレン分子の自己集合挙動 大環状アセチレン分子が、溶液中においてπ-πスタッキング相互作用により、二量体を形成することを見いだした。すなわち、環の周囲に長鎖アルキル基を有する環状四量体が、クロロホルム中25℃において-2.1kcal/molの会合の自由エネルギーを有することが明らかとなった。興味あることに、会合定数は、芳香族溶媒であるo-ジクロロベンゼン中のほうがさらに大きくなることがわかった。またこの分子が、液晶相を発現することも見いだした。これらの結果は、大環状アセチレンを分子素子とする集合体形成に対して、重要な知見となるものである。
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