1997 Fiscal Year Annual Research Report
水またはアルコールを溶媒として用いるアルドール型炭素-炭素結合形成反応
Project/Area Number |
08651034
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
重政 好弘 鳥取大学, 工学部, 教授 (00032029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 稔 鳥取大学, 工学部, 助手 (10273880)
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Keywords | 水 / アルコール / 糖質 / 金属塩 / 金属水酸化物 / ホルムアルデヒド / メチルビニルケトン / アルドール反応 |
Research Abstract |
三炭糖の1,3-ジヒドロキシアセトンとC1化合物であるホルムアルデヒドとのアルドール反応を検討し、水系で塩化カルシウム/水酸化カリウム触媒を用いた場合には、ヒドロキシメチル基の導入により生じた2-テトルロースが、さらに脱水反応を受けて新規生成物1-ヒドロキシ-2,3-ブタンジオンが合成されることを見い出した。本反応は、メタノール系では、ヒドロキシメチル基の導入のみが進行し、ホルムアルデヒドが1分子反応した2-テトルロースと、さらにもう1分子のホルムアルデヒドが反応した3-ペンツロースが主成分として合成されたので、際立った溶媒効果を見い出すことができた。触媒としては、メタノール系でのヒドロキシメチル化反応にはアルカリ土類金属触媒が有効であったが、水系での1-ヒドロキシ-2,3-ブタンジオン合成反応では、水酸化カリウムのみを用いた場合も塩化カルシウム/水酸化カリウム触媒と同様に有効であった。なお、新規生成物1-ヒドロキシ-2,3-ブタンジオンは、アセチル化して単離を試みたところ、副生成物の2-テトルロースと1,4-ジオキサン型のヘミアセタールを形成し、そのアセチル化物として単離、同定できた。 一方、ホルムアルデヒドの代わりにメチルビニルケトンを用いて1,3-ジヒドロキシアセトンと水系で水酸化カリウムにより処理した場合、1,3-ジヒドロキシアセトンはエノラートとして作用するのではなく、まず、1級アルコールとして求核的に1,4-付加し、次に分子内でアルドール型に環化し、新規生成物4-アセチル-2,3,4,5-テトラヒドロ-3-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチルフランが得られることを見い出した。また、アセチル化して単離を試みたところ、さらに脱水が進んだ3-アセチル-4-アセトキシメチル-2,5-ジヒドロフランとして単離、同定できた。
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