1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08651035
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岡野 多門 鳥取大学, 工学部, 助教授 (20112104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木地 実夫 鳥取大学, 工学部, 教授 (60026002)
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Keywords | 水溶性遷移金属ホスフィン錯体 / スルホン化ホスフィン / 触媒分離回収 / 水溶性パラジウム触媒 / シアノ化反応 / 逆相間移動触媒 / カルボニルアリル化反応 / 二相系溶媒反応 |
Research Abstract |
安価な無機試剤を用いる錯体触媒反応ては、高価で環境汚染の心配のある両親媒性溶媒や順相間移動触媒の添加が必要であり、さらに生成物と高価な触媒の分離が困難であった。本研究ではこれらの問題を一挙に解決する新しい方法として、逆相間移動触媒と遷移金属錯体触媒の二つの作用を一つの分子に融合した触媒系の開発を行った。本研究ではアリル化合物と塩化第一錫によるカルボニル基のアリル化反応、およびアルカリ金属シアン化物による芳香族ハロゲン化物のシアノ化反応を検討し、二相系溶媒中で通常の疎水性ホスフィンのパラジウム錯体はほとんど触媒活性を示さないことを確認した。他方、水溶化ホスフィン(PPh_2(3-C_6H_4SO_3Na)以後DPMSと略)のパラジウム錯体PdCl_2(DPMS)_2は水-ヘプタンの二相系中でいずれの反応においても著しく高い触媒活性と広い基質適用性を示した。またこれらの反応混合液から有機生成物と触媒を容易に分離できることを確認した。また前者の反応で水溶化触媒はアリル化合物をπ-アリル錯体して有機相から水相に輸送し、界面ではなく水相中で塩化第一錫と反応させる逆相間移動触媒として作用していることが解った。また、4種の新規水溶性ホスフィン(PPh_2[3-C_6H_3(4-Me)SO_3Na(MTMSと略)、P(tolyl)_2[3-C_6H_3(4-Me)SO_3Na](TTMSと略)PPh[3-C_6H_3(4-Me)SO_3Na]_2(MTDSと略)P[3-C_6H_3(4-Me)SO_3Na]_3(TTTSと略))を合成し、シアノ化反応に対する触媒効率を検討したところ、親油性の高い水溶性ホスフィンを持つ錯体(TTMS【greater than or equal】MTMS>DPMS>TTTS)ほど活性が高かった。
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[Publications] 木地実夫: "A Convient Routeto α,β-Unsaturated Esters without Formationof the α,β-Isomers.Palladium-Catalyzed Alkoxycarbonylationof Allylic Halidesunder Alcohol-Potassium Carbonate Two-Phase Conditions" Bull.Chem.Soc.Jpn.69. 1026-1031 (1996)
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[Publications] 岡野多門: "Barbier-Type Carbonyl-Allylation with Allyl Compounds and SnCl_2 in the Presence of PdCl_<>[PPh_2(m-C_6H_4SO_3Na)]_2 under Two-Phase Conditions" Chem.Lett.5-6 (1998)
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[Publications] 岡野多門: "Biphasic Cyanation of Aryl Halides with Countet Phase Transfer Catalysts" Chem.Lett.(印刷中). (1998)