1996 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性1,1'-ビ-2-ナフトールの高分子化とその高次構造及び機能の研究
Project/Area Number |
08651043
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
玉井 康文 日本大学, 工学部, 助教授 (90171884)
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Keywords | 1,1'-ビ-2-ナフトール / ポリ(2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチル-6,6'-ジイル) / HPLC / 光学活性固定相 / CDスペクトル |
Research Abstract |
本研究では、光学活性6,6'-ジブロモ-1,1'-ビ-2-ナフトール誘導体が合成の容易な点に着目し、-位で縮合させたポリアリール型高分子の合成を行った。 まず、100%e.e.の(R)-BINOLをCramらの方法に従って6,6'-ジブロモ体に変換した。続いてt-BuMe_2SiClを用いるビスシリルエーテル化を行い、BINOLから98%の単離収率でモノマーとなる6,6'-ジブロモ-1,1'-ビ-2-ナフトールのビスTBDMSエーテル1を得た。 重合は1と当量のNi(cod)_2に、PPh_3、2,2'-bpy、1,5-codを加え、DMF中60℃で24時間行った。生成ポリマーは通常の有機溶媒に可溶であり、GPC(PSt基準)から求めた数平均分子量は19000、多分散度は1.88であった(収率89%)。水酸基の再生はn-Bu_4NFをTHF中で用いる常法により行い、目的とする光学活性ポリ(2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチル-6,6'-ジイル)を収率92%で得た。 このポリマーは、DMF、DMSOのような非プロトン性極性溶媒以外の通常の有機溶媒には溶解しなかった。又、モデル化合物6,6'-ビス(6-ヒドロキシナフタレン-2-イル)-2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチルとのCDスペクトルの比較を1%DMF/CH_3CN中で行ったところ、ポリマーでは第二コットン効果が二つに分裂し、第一コットン効果の極大波長が14nm長波長シフトすることが分かり、溶液中で何らかの高次構造を形成している可能性が示唆された。 本ポリマーをシリカゲルにコーティングしてHPLC用不斉固定相としての不斉識別能を調べた結果、種々のタイプのラセミ体サンプルに対して不斉識別能を示すことを見出した。又、キャスト膜の調製も試みたが、脆い膜しか得られなかった。
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