1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08651053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
飯澤 孝司 広島大学, 工学部, 助教授 (60130902)
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Keywords | エステル化 / 疎水化 / アクリル酸ゲル / コアーシェル型ゲル / 反応解析 / 徐放材料 |
Research Abstract |
本研究では、アルキルハライドの拡散を利用しアクリル酸DBU塩ゲル(GAAS)を外部からエステル化することにより、外部が疎水性のアクリル酸エステルゲル、内部が親水性のアクリル酸DBU塩ゲルの疎水性-親水性傾斜ゲルの合成を検討した。まず、直径7mm,長さ7mm程度の円柱形のGAASを合成した。GAASをアルキルハライドの溶液に浸け外部よりエステル化すると、溶媒に膨潤した反応部分と内部の未反応の未膨潤部分に分かれた。この境界の直径rと元の外径Rとの比より反応率を求め、反応の経時変化を測定した。この反応はアルキルハライドおよび溶媒のゲル内への拡散とエステル化の複合反応であり、この反応を制御するため反応のメカニズムを明らかにする必要がある。この反応機構は、すでに良く知られている未反応核モデルと類似していることから、このモデルを拡張改良することにより新しい反応モデル式を提案した。GAASの架橋剤の含有率、反応温度、アルキルハライドの種類、溶媒の種類等、この反応に及ぼす種々の条件で反応を行った。その結果をこの反応式に代入したところ生成した膨潤層の拡散律速を仮定した場合よく一致し、この反応が生成した膨潤層の拡散律速で進むことが明らかになった。また、この反応では反応ゾーンがほとんどなく、膨潤層と未膨潤層間に傾斜がないことが判明した。さらに、アルキルハライドの種類、溶媒の種類、反応温度、反応時間を適切に制御することにより任意の膜厚のエステル膜(疎水膜)を持つコアーシェル型のゲルが合成できることが判明した。これまで得られた結果に基づき種々の疎水膜を持つコアーシェル型のゲルカプセルを合成し、そのゲルカプセルの徐放材料としての性能について今後検討する予定である。
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