1996 Fiscal Year Annual Research Report
同符号荷電平板-微粒子間の超長距離静電相互作用に関する研究
Project/Area Number |
08651071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
伊藤 研策 富山大学, 工学部, 助教授 (10192494)
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Keywords | 荷電高分子微粒子 / 濃縮分布 / 同符号粒子間静電引力 / 荷電平板 |
Research Abstract |
純水と接触し負に帯電したガラス平板近傍において、負の電荷を持つ高分子ラテックス微粒子が分散液内部の粒子濃度の約2倍に濃縮されていることを本申請者は発見した。この濃縮現象が粒子間および粒子-平板間の静電相互作用に由来するのではないかとの推察をもとに、本申請研究において以下の点について検討を行った。なお、以下の実験には、補助金により購入したマイクロステージを用いて従来より高精度な粒子分布関数を求めた。1.粒子の沈降の影響 ポリスチレン微粒子の密度が約1.05であることから、沈降により粒子が濃縮されている可能性があるため、水と重水の混合分散媒を用いて分散媒の密度を1.00から1.06まで変化させ、ガラス平板近傍の粒子分布を観察した。その結果、どの分散媒密度においても濃縮分布が観察された。2.溶出カチオンの影響 ガラス内部から溶出するカチオンがガラス表面近傍に正電荷雰囲気を形成して粒子を濃縮するという機構を検証するために、カチオンが溶出しない石英ガラス平板を用いて粒子分布を観察したところ、通常のガラスと同様な濃縮分布が観察された。3.粒子、平板上の電荷数の影響 濃縮分布は分散液内部に存在する粒子が平板近傍の粒子を静電斥力によって平板方向に押しつけていると解釈することもできる。そこで、平板表面の電荷数を変化させて粒子分布を測定し、電荷数の増減に伴う濃縮率の変化を調査した結果、濃縮率は電荷数とともに増加する傾向が認められた。また、電荷のない平板近傍では濃縮現象は見られなかった。平板近傍の粒子が内部の粒子から押されていると解釈する場合、平板上に電荷がなくても濃縮現象が発現すると考えられるが、実験事実はこの解釈による予想とは正反対の傾向を示した。 以上のことから、粒子-平板間の静電引力によって濃縮現象が発現する事が明らかとなった。しかし、濃縮が50μmにまでおよぶことを説明するには、粒子間静電相互作用や対イオン分布について検討する必要があると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kensaku Ito: "Gathering of Charged Colloid Particles Near Like Charged Entities" Proceedings of The Japan Academy. 72(B). 62-66 (1996)
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[Publications] Tadashi Muramoto: "Gathering of Charged Colloidal Particles Near a Like Charged Glass Plate" Journal of American Chemical Society. (in press).