1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08651077
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡辺 宏 京都大学, 化学研究所, 助教授 (90167164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 正志 京都大学, 化学研究所, 助手 (80201937)
尾崎 邦宏 京都大学, 化学研究所, 教授 (00027046)
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Keywords | グラフト-ブロック共重合体 / アニオン・カップリング法 / 乾燥吸着薄膜 / 外部環境応答性 / 組織の組み替え |
Research Abstract |
本研究の対象であるグラフト-ブロック共重合体をアニオン・カップリング法で合成した。まず、幹となるポリ2-ビニルピリジン(PVP,分子量M=18万)をアニオン重合し、これを飽和グラフト量の半分量のポリイソプレン(PI)アニオン(M=2万)と1時間THF中でグラフト反応させ、さらに十分量のポリスチレン(PS)アニオン(M=2万)と反応させた。得られたグラフト-ブロック共重合体は枝としてPI,PS両ブロックを有するが、その存在比は仕込比(1:1)に比べてPI枝が多い(2:1)ことが確認された。この結果は第二段階のPSグラフト反応に対して既に幹上に存在するPI枝層が強いバリヤ-として働くことを意味する。現在、グラフト反応系の溶媒を変更することにより仕込比と同じ枝組成を有する共重合体を合成する条件を検討中である。 上記のグラフト-ブロック共重合体をトルエン中から清浄雲母表面に吸着させ、その乾燥薄膜(厚み〓30Å)について接触角などの表面特性を調べた。この薄膜はPVP幹を底部に、PI,PS枝を上部に有する相分離構造を持つが、その最上層には、無極性環境下ではPI枝が、やや極性の環境下ではPS枝が析出することが明らかとなった。この結果はグラフト-ブロック共重合体薄膜が外部環境に応答して組織の組み替えを行うことを示す。しかしながら、当初予期されたPI,PS相が共析出する表面モザイク構造は確認できなかった。この構造を実現・固定化するために必要なPI,PS枝の組成比や外部環境の極性の程度について現在検討中である。
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