1997 Fiscal Year Annual Research Report
西南北海道の熱水性金属鉱床における金銀、レアメタルの賦存特性に関する研究
Project/Area Number |
08651105
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小野 修司 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30125299)
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Keywords | 西南北海道 / 熱水性金属鉱床 / 手稲鉱床 / 金銀 / ビスマス / 高硫化型金鉱床 |
Research Abstract |
西南北海道の熱水性金属鉱床のうち,手稲鉱床と春香山付近の鉱化帯における金銀,レアメタルの賦存特性について検討を行った.手稲鉱床は金・銅を主とする金鉱床であり,金銀鉱物はエレクトラムのほか,sylvanite,hessite等のテルル化物として産すること,bismuthinite,emplectiteなどのビスマス鉱物を伴うことを特徴とする.金盛脈産鉱石中の石英に含まれる流体包有物の均質化温度と塩濃度(NaCl相当)は,それぞれ196〜263℃,1.4〜1.9wt%の範囲にあり,前者はとくに200〜240℃に集中している. 一方,春香山の南方(手稲鉱床の西方約8km)に多数分布する石英脈の一部に金銀,銅,錫,ビスマス等の鉱物が伴われることがわかった.金銀はエレクトラム(18〜19atom.%Ag)のほか,テルル化物(petzite,hessite)として産する.ビスマスはtellurobismuthite,tetradymiteのほか,四面銅鉱にも0.2〜8.3wt%に含まれる.また,錫はsatannoidite,mawsoniteとして少量産する,石英中の流体包有物の均質化温度と塩濃度はそれぞれ198〜282℃,1.2〜2.2wt%である. 以上,手稲鉱床及び春香山付近の鉱化帯から得られた鉱物学的特徴,流体包有物データはきわめて類似しており,かつ両者のK-Ar年代は4〜5Ma(沢井・板谷,1996;MMAJ,1996など)と同様であることから,この地域の鉱化作用は鮮新世前期に生じた一連のいわゆる高硫化型に属するもので,テルルを伴った金銀・ビスマス鉱物で特徴づけられるものと考えられる.
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