1997 Fiscal Year Annual Research Report
農作物における紫外線UV-Bのシグナル伝達と紫外線耐性機構の分子的解析
Project/Area Number |
08660001
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
赤田 辰治 弘前大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (10250630)
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Keywords | カルコンシンターゼ遺伝子 / ダイズ / 紫外線UV-B / MYB相同性転写因子 / フラボノイド / 根粒菌の共生 |
Research Abstract |
植物は発芽して間もなく太陽光の紫外線UV-Bを浴び、微生物優略等の危険にさらされる。フラボノイドはこれらの有害な環境要因に対する防御物質の一つとして知られている。本研究では、ダイズ発芽初期におけるカルコン合成酵素(CHS)遺伝子ファミリーの発現調節を調べ、芽生えにおける紫外線等に対する環境応答について解析した。 発芽種子胚においてはCHS第7遺伝子の発現誘導が種子の浸漬から6時間でピークに達するという非常に早い反応を示し、しかも、これは光条件に無関係であることが確認された。その生理的機能は紫外線防御とは離れるが、ファイトアレキシンあるいは成長制御物質としてのフラボノイド合成等にあたっていると考えられた。また、CHS第1〜6遺伝子の紫外線UV-Bによる発現増大(紫外線応答能)は種子の浸漬から24時間以降になって急速に高まることが判明した。これは、下胚軸の伸長開始時期にあたり、自然界において地上に頭を持ち上げるまでに紫外線応答能の発達する遺伝的プログラムを示唆するものであった。 フラボノイド合成の活性化因子の一つとしてはMYB相同性因子がよく知られている。これまでにダイズのゲノムよりPCR増幅した部分的MYB相同性遺伝子の中から紫外線UV-Bにより発現量が5倍近くに増大すると推定されるクローンを2つ選抜した。これらの遺伝子断片をもとにして、myb10及びmyb29の全長をクローン化しその構造解析を行った。 一方、マメ科植物においては、フラボノイドの一種が根粒菌の共生を促す作用を持つが、このようなフラボノイド合成は窒素栄養制限下で強まる。そこで、窒素栄養制限下で発芽したダイズ芽生えの根組織におけるCHS遺伝子ファミリーの発現調節を調べた。その結果、窒素栄養制限下におけるCHS第7遺伝子の発現増大、それがマメ科植物に特異的であること、また、硝酸態窒素がその発現調節に関わっていること等が明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Harada,T.: "Genomic nucleotide sequence of a ripening related 1-aminocyclopropane-1-carboxylate syntase gene(MdACS-1)in apple." Plant Physiology. 113. 1465-1465 (1997)
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[Publications] Ishikawa,R.: "Complex constitutive nature of Japanese upland rice,Oryza sativa L." Eupytica. 98. 197-203 (1997)