1996 Fiscal Year Annual Research Report
核に転移した葉緑体リボソームタンパク質遺伝子の構造と発現
Project/Area Number |
08660004
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堤 伸浩 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00202185)
|
Keywords | イネ / 葉緑体リボソームタンパク質 / rpl13 / rpl24 / イントロン / S1F |
Research Abstract |
イネゲノミックライブラリーを作製し、rpl13,rpl24のcDNAをプローブとしてゲノミッククローンのスクリーニングをおこなった。単離された複数のファージクローンからDNAを精製し、制限酵素地図を作製したところ、rpl13,rpl24それぞれについてすべてのクローンで同様の制限酵素地図が得られた。このことから、イネrpl13,rpk24が核ゲノム上において単一コピーで存在することが示唆された。 続いてこのゲノミッククローンの塩基配列を決定した。rpl24はその遺伝子の内部に1109塩基、75塩基、113塩基の3つのイントロンが存在していた。植物の核遺伝子のイントロンには、5′と3′のsplice junctionや3′splice junctionの18〜40の塩基上流に見られるbrunch pointに保存された配列が存在する。rpl24の3つのイントロンもそのような核遺伝子のイントロンの特徴を示していた。また、rpl13も3つのイントロンを含み、splice junction,blanching pointは葉緑体ゲノムではなく核遺伝子の特徴を保持していた。これは、これらの遺伝子が葉緑体ゲノムから核ゲノムへと移行した後に、イントロンが獲得されたことを示唆している。 上流の転写調節領域についての解析を行った。rpl24のcDNAの5′末端より356塩基上流と468塩基上流に、ホウレンソウrps1,rpl21の組織特異的な発現の調節に関わるnegative elementとして同定されたS1F結合部位の配列に類似した配列が見いだされた。またcDNAの5′末端の上流65〜71塩基にシロイヌナズナの4種の葉緑体リボソームタンパク質遺伝子の上流37〜72塩基に保持された7塩基の配列と完全に一致した。これらの配列が核コードの葉緑体リボソームタンパク質遺伝子の協調的な発現に関与している可能性がある。
|
-
[Publications] Nobuhiro Tsutsunm: "Molecular cloning and nucleotide sequencing of nuclear genes coding for the chloreplast ribosumal proteins L13,L24,L28 of rice (Opse salival)" Plant Science. 121. 167-174 (1996)