1996 Fiscal Year Annual Research Report
栽培コムギの適応と分化に関するSCARマーカーを用いた解析
Project/Area Number |
08660008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
加藤 鎌司 岡山大学, 農学部, 助教授 (40161096)
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Keywords | コムギ / 分子マーカー / 系統分化 / SCARマーカー / RAPD多型 / 適応 |
Research Abstract |
世界の各地域に適応して栽培地域が広がった栽培コムギのうち,特に地形的にも変化に富み,日本との関係も深いアジア東部において,アイソザイムなどの遺伝子頻度がまったく異なる2地域群に明瞭に分化していることが明らかになりつつある.そこで本研究では,栽培地域の拡大にともなって生じた遺伝的分化のダイナミズムを明らかにするために,ゲノム中の大部分を占める非コード領域に加えて,自然及び人為選抜の対象となる遺伝子座における塩基配列の変異を解析している.本年度の研究実績の概要は下記の通りである. 1.栽培コムギの地域的分化を解析できるSCAR(Sequence Characterized Amplifiable Region)マーカーを開発するために,各種プライマーを用いたRAPD分析を行っているが,特定地域のコムギに特異的なRAPDマーカーが数種類明らかになっている.今後は,自然及び人為選抜の対象となる遺伝子領域を対象としてRAPDマーカーを検索し,SCARマーカー化する. 2.中国及び日本のコムギにおける遺伝的変異を代表すると考えられる56品種について,上記のRAPD多型を解析した.その結果,中国西・北部の春播き栽培地域では多様な遺伝的変異が観察されたのに対して,中国東・南部,朝鮮半島及び日本では各地域に特徴的な少数のタイプに限られており傾向を異にした.しかも後者に特徴的なタイプは中国西・北部ではほとんど観察されなかった.これらの結果より,小麦の東進に際して強力な選抜が加わったことが明らかである.
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