1996 Fiscal Year Annual Research Report
トウモロコシにおける茎への木部液の注入が葉の老化におよぼす影響
Project/Area Number |
08660014
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
平沢 正 東京農工大学, 農学部, 助教授 (30015119)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 泰一郎 東京農工大学, 農学部, 助手 (80213643)
|
Keywords | クロロフィル含量 / 光合成速度 / サイトカイニン / 出液速度 / トウモロコシ / 土壌乾燥 / 木部液 / 老化 |
Research Abstract |
葉の老化を抑制し、葉が長い間高い光合成速度を維持することは、作物生産の向上にとってきわめて重要である。土壌水分が減少し、水ストレス状態におかれると作物の葉の老化は急激に進む。本研究はトウモロコシを用いて土壌水分低下によって促進される葉の老化を根の機能に着目して検討し、以下の成果を得た。 1.低土壌水分条件に生育するトウモロコシの葉の老化は湿潤土壌に生育するトウモロコシに比較してはやく進み、この傾向は下位の葉で顕著であった。 2.低土壌水分条件に生育するトウモロコシは、湿潤土壌に生育するトウモロコシに比較して茎基部からの出液速度が著しく小さかった。 3.トウモロコシ茎基部から採取した木部液に浮かべたトウモロコシ葉片のクロロフィル含量の低下は水に浮かべた葉片に比較して小さかったことから、根から地上部に送られる木部液には葉の老化を抑制する作用があることが推察された。 4.湿潤土壌に生育しているトウモロコシの茎基部から採取した木部液を低土壌水分条件に生育し、老化の進行しているトウモロコシの茎基部に注入した結果、水のみを注入したトウモロコシに比較して生葉数、葉のクロロフィル含量、光合成速度の減少程度が小さく、葉の老化が抑制されることがわかった。 5.根の木部液中にはサイトカイニンや窒素など葉の老化を抑制すると考えられる物質が含まれている。土壌水分が低下すると地上部に送られるこれらの物質の量が減少することが葉の老化の促進と関係していることが推察された。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 若林克拓: "葉の水ポテンシャルの低下に伴う光合成低下の要因の検討-赤外線CO_2分析法と気相酸素電極法を用いて-" 日本作物学会紀事. 65巻・4号. 590-598 (1996)
-
[Publications] 大川泰一郎: "ダイズ品種エンレイとタチナガハの葉の老化が異なる要因の解析-接木個体を用いて-" 日本作物学会関東支部会報. 11号. 62-63 (1996)
-
[Publications] Hirasawa.T.: "Water potential,turgor and cell water properties in elongating tissues of the hydrotropically bending roots of pea (Pisum sativum L.)" Plant Cell and Environment. 20巻(印刷中). (1997)
-
[Publications] 徐銀発: "水稲多収性品種タカナリの収量と乾物生産過程の解析-1991年から1994年の4年間-" 日本作物学会紀事. 66巻・1号(印刷中). (1997)