1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08660028
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
水田 洋一 京都大学, 農学研究科, 助手 (90239236)
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Keywords | 機能性膜 / 逆浸透膜 / 低光量 / 組織培養 / ポリエチレングリコール / 根圏 / セルトレイ / 簡易化 |
Research Abstract |
園芸作物の栽培では品質管理のため養水分の供給制御(吸収制限)が重要である。既存の栽培装置では、極めて不正確にしか管理できない(土耕)か、全く管理できない(水耕)かどちらかであった。筆者が発明した膜耕では理論的には正確にできるはずである。これまでの研究で、養水分の制御の内、水分のコントロールが可能であることが確認された。植物の多量必須元素の内、NおよびKはこの膜では、通過抵抗が少なすぎ制御しにくいことがわかった。しかしP、Caでは比較的容易に制御できそうであった。これについては現在方法を改善、考慮中である。 膜耕で膜の分離機能でより有害成分を除去する場合、Al 100ppmを含む培養液では効果的にアルミニウムは除去し、植物は正常に生育できることが示された。このことを利用し、組織培養においてアルミニウムイオンで静菌したショ糖を含む培養液を、膜経由で無菌の培養器内へ導き、菌及びアルミニウムイオンを取り除くことにより、ホルモン組成の変更を含む、培養液の継代操作を含まない連続更新に成功した。 また、定植時に、膜上に硫酸カルシウムを施すことにより、今まで膜耕では活着が不良で、生育させることが困難であった植物も、そろって生育させ得ることができるようになり、ほとんどの草本性園芸作物に膜耕は適用可能になった。膜上で育苗した植物を通常土壌に移植した場合も通常の土壌栽培で育苗したものと変わらずに路地圃場へ定植可能な方法を確立した。また、膜上で育苗時に膜を通常の防根シートに変更すると通常のセル整形トレイ育苗と比較して、簡易安価、かつ取り扱いやすい育苗法として使えることを示した。 膜耕の作物が低光量下で生存が延長されるが、これの主要原因は、根圏にほとんど液体としての水が存在しないことによって根の活性が低下しないことが確認された。またこの時膜耕のヒメコリウスでは、葉内クロロフィル量、アントシアニン含量が維持されるが、水耕では低光量条件にした後これらが維持しきれずに枯死することが判明した。
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[Publications] 水田 洋一・林 孝洋・矢澤 進: "膜耕における定植時の根の膜面への活着促進法" 園芸学会雑誌. 第65巻別冊2. 56-57 (1996)
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[Publications] 水田 洋一・森 美須寿・林 孝洋・矢澤 進: "機能性膜を利用した新栽培システムとしての膜耕" 園芸学会雑誌. 第65巻別冊2. 58-59 (1996)
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[Publications] 水田 洋一: "膜耕における定植時の根の膜面への活着促進法" 園芸学会雑誌. 第65巻別冊2. 56-57 (1996)
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[Publications] 水田 洋一・藤沢 猛・森 美須寿・矢澤 進: "膜耕における分離機能を利用した有害金属の除去" 生物環境調節学会講演要旨集. 216-217 (1997)
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[Publications] 水田 洋一・森 美須寿・林 孝洋・矢澤 進: "膜耕法による低光量下でのヒメコリウスの観賞期間の延長とその要因" 園芸学会雑誌. 第66巻別冊2. 76-77 (1997)