1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08660032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
坂本 圭児 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (90205766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 賢 岡山大学, 農学部, 助教授 (50166922)
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Keywords | 竹林 / 分布変化 / 林分構造 / 林分動態 / 現存量 |
Research Abstract |
岡山市近郊域において竹林の分布の変化を明らかにするために,1974年と1989年撮影の航空写真を活用し,2.5km×2.5kmの範囲で群落数,分布面積の変化を検討した.その結果,竹林の群落数は84群落から60群落に減少し,逆に面積は,18.26haから38.69haに増加したことがわかった.竹林の消失と新たな出現はわずかであり,群落数の減少は竹林の拡大によって竹林同士が隣接することによるものであった.平地の竹林で周囲が田畑などの人為圧が大きな場合には拡大は少なく,傾斜地で周囲が樹林の場合に拡大が顕著であった.面積の拡大は,薪炭林,果樹園,田畑などは放棄されたためであった. 平地で周囲が田畑に囲まれ分布拡大が制限されている竹林と,傾斜地で樹林に囲まれ分布拡大していた竹林を対象として,群落維持機構と拡大過程を明らかにするため,竹林の構造と動態を調べた.その結果,以下のことが明らかになった.分布拡大が制限されている竹林では,林緑部で現存量が増加し,林内部では現存量が一定であった.林緑部では,稈密度が高く新稈と枯死稈の割合が高かった.したがって,稈のターンオーバーが非常に著しいと考えられた.林内では,稈密度が低く新稈と枯死稈の割合も小さかった.樹林と隣接する竹林では,竹林全体で現存量が増加していたが,特に樹林と接する部分で現存量の増加率が顕著に大きかった.樹林と接する部分では,竹林の林内に比べて新稈の割合が大きく枯死稈の割合が小さかった.このようなことから,隣接する樹林内へ稈が侵入しつつあることが明らかになった.樹林に隣接するいくつかの竹林で稈の樹林内への侵入速度を求めたところ,0.15m/yrから1.25m/yrの範囲にあった.隣接する樹林の林冠層の閉鎖率が高いほど侵入速度が遅い傾向があった.
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