1996 Fiscal Year Annual Research Report
雑草における一年生型,越年生型生活史の決定に関与する遺伝的プログラムの解析
Project/Area Number |
08660048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉岡 俊人 東北大学, 農学部, 助手 (10240243)
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Keywords | 一・越年生雑草 / 未発芽種子バーナリゼーション / 生活史進化 / 冬季一年草 |
Research Abstract |
多くの一・越年生雑草は,発芽時期によって可塑的に一年生型生活史と越年生型生活史を発現することで攪乱環境に適応している.秋に発芽した越年生型個体が,緑色植物体バーナリゼーションが誘導されることによって,花成刺激への感受性を獲得することはよく知られている.しかし,春に発芽した一年生型個体が日長に反応して花芽分化するためにどのような遺伝生態的メカニズムが必要であるかについては,いままでほとんど考慮されていなかった. われわれは春に発芽する種子が冬季は土壌中に在ることに着目して,一・越年生雑草ヒメムカシヨモギとナズナの種子を低温湿潤条件に置いた後に発芽,生育させてみた.その結果,春に発芽した個体が当年度内に開花,結実するためには,種子が未発芽の段階で低温に感応して花成刺激への感受性を得ることが必要であった.われわれは,この現象を未発芽種子バーナリゼーションと名付け,発芽後種子を対象とした従来の種子バーナリゼーションと区別した. 本研究によって,一・越年生という生活史が緑色植物体バーナリゼーションに加えて未発芽種子バーナリゼーションの性質を獲得したことで成立したことが初めて明らかとなった.
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